[MBC2014] 12-4, 12-5 がん細胞の挙動とその分子レベルでの解明, がん治療の現状と将来

標準

担当:佐藤
参加者:9名

節の概要
4節:癌化に重要な遺伝子変異からどのようにがん細胞特有の性質が生じるのか、がんと
    関連する遺伝子の機能の特定、結腸がんをモデルにしたがん進行の例について
5節:現状のがん治療方法と今後の発展について

議論点
がんデータベースの有効利用

がんデータベース
○全国がん登録データベース
 国主導の既存の地域がん登録・院内がん登録データベースを統一した包括的DB
  がんについて:がんの種類、進行度、治療内容、発覚日、発見経緯
  個人について:姓名、性別、生年月日、居住地、医療機関名、生存確認情報
 といった情報をデータベース化する
 全ての情報が登録されるため、バイアスがないデータが得られる。
 フォーマットが統一されデータが扱いやすくなる。

○オープンながんデータベース
 ex)がん診断画像レファレンスデータベース(国立がん研究センター、データ数百件)
 アクセスが容易である。

○コミュニティサイドのデータベース
 ex)Patients like me:患者によるヘルスコミュニティー
 国を超えたデータベースフォーマットの統一ができる。
 アクセスが容易である。

データベースからわかりそうなこと
◇発見経緯からあるがんに有効な発見方法がわかるかもしれない
◇地域と特定のがんとの相関性が見えてくるかもしれない(環境要因の特定につながる)
◇がん細胞の変異情報からがんの状態を記述できる
◇がんに対する有効な治療法の判別(治療法別の生存率、有効度判定など)
  →無駄な治療や医療費の削減につながる
◇新規治療法の発見(偶然から治療法が確立される可能性)
◇医療機関や医師ごとの生存率がわかる
  →講習会や誤った治療が行われてないかなどのチェックの基準になる

まとめ
フォーマットの統一されたデータベースができることで、今まで見落とされていた事実が明らかになったり、がん研究での利便性が増すことが考えられる。
具体的にデータベースが出来てみないとどんなことが可能か詳しくは分からない。

[MBC2014] Nature Podcast(2014/05/22) Reservoirs of resistance?

標準

担当:朴
参加者 :9名

概要:
土壌バクテリアの抗生物質耐性遺伝子はヒト病原体に滅多に伝播しないことが明らかになった。

議論:
 微生物の進化を予測することはできるようになるのか

・活用
 -ウイルス
 インフルエンザのワクチン開発は進化予測ではなく、昨年に流行ったウイルス株の確率的データによりに開発する。
 -ヒトの病原体バクテリア
 -農業での活用
・バクテリアの進化速度
 -ウイルスよりは比較的遅いが、個体数や分裂速度から見ると臨床的大きい課題となる
 複製失敗率、個体数、分裂速度
・バクテリアの進化方向
 -選択圧により明らかに薬剤に耐える方向である
・コンピュータでバクテリアの進化をシミュレーション出来る可能性
 抗生物質、環境要素
・将来は抗生物質開発より、ヒトの免疫力を強くさせることが中心課題となる

[MBC2014] 20-1,2,3 がんに見る微視的進化過程、予防できる発がんの原因、がん化に重要な遺伝子の探索

標準

担当:安澤
参加者 :9名

節の概要

20-1:がんの定義、発生の過程と特徴について
20-2:発がん因子とその同定について
20-3:がん化にかかわる遺伝子とその探索方法について

議論点

 

遺伝子検査が社会に与える影響について

  • 遺伝子検査
    • 遺伝子からリスクが分かる(例えば健康な人と比べた場合のオッズ比として)
      •  がんに関わる遺伝子検査の例:BRCA1
    • ゲノムは変化しない
      • 実際に罹患するかどうかは確率論
      • 対策した後の評価はできない
        →環境要因を含めた評価が必要
      • 特定の組織や未発見のがんそのものを検査するのは難しい
  • サービスとして
    • 遺伝子検査からアドバイスまで行う企業の出現
      • データを持っていたり、収集できる基板を持つ企業が強そう
    • 人工知能によるデータの評価・医療の補佐


まとめ
遺伝子検査に関してその評価尺度から話が始まり、やはり環境要因の考慮も必要ということでデータの収集方法や、今後これらを総合的にサービスとして提供する企業が現れるだろうという議論になりました。

[MBC2014] 11-1,2,3 膜輸送の基本,輸送体と能動膜輸送,イオンチャネルと膜の電気的性質

標準
担当:池野
参加者:8名

節の概要:
前半では細胞膜を通り抜けてイオンを輸送するための仕組みや性質について、後半では神経細胞の基本的な仕組みなどについて述べられている。

議論点:
ニューロンの成長はどのように制御されているのか
神経系への人為的な学習の限界について

ニューロンの成長について
脳単位(マクロ)と神経細胞単位(ミクロ)の見方ができる
・脳単位
ヒトの学習能力は40〜60歳まで伸びる
子供よりも大人の方が単純に脳の容積が大きくなる
別々に育てられた双子は正確が似る傾向にある→性格は遺伝しているのではないか
・神経細胞単位
死んだ神経細胞の代わりはどうなるのか
不要な神経細胞は学習段階で間引かれる
学習能力=シナプス相互作用をスムーズに変更できる能力

神経系への人為的な学習について
単純なものは可能(条件反射や恐怖を与える)

神経細胞のネットワークの構造は人によって違う
→記憶の移植などは単純には行えない

・脳と直接通信することはできるか
視覚・聴覚を持たない人でも、機器を通じて神経細胞に信号を送ることである程度の視覚・聴覚を獲得することに成功している


まとめ:
生物は機械と違い自分でハードウェアの構造(神経細胞ネットワーク)も変化できることでより複雑さを増している。
神経細胞ネットワークの構造を把握することができれば、記憶の移植や脳との通信も可能になるかもしれない。

[MBC2014] Nature Podcast(2014/05/08) Eye Wire

標準

担当:寺嶋
参加者:8名

概要:
網膜の神経の配置をゲーム化して解く事に成功

議論:
第六感のセンシングは可能か

・五感(味覚・嗅覚・触覚・視覚・聴覚)は人工的なセンサーで検知可能
    – 例:嗅覚・味覚(物質)、視覚・聴覚・触覚(エネルギー)
    → 第六感は検知できないのか

・第六感とは
    – 例
      – 霊感
      – ひらめき
      – 直感
    – 考えられる要因 
      – 今までの経験から脳内で無意識につながりが出来ている?
      – 推論
      – 記憶の勘違い
      → センサーではなく周囲の状態を知るもの(統合情報)
           – 正しいかどうかは別にして、第六感そのもので予想されるものに関わる何かは検知している
           – 例:温度・湿度体調等

・未知の検知能力
    – 例
      – 磁力(ハトとか)
      – 放射線
        – 凄く強いもののみに反応する
      – 重力(植物とか)
      – 自分の中の時間(体内時計が狂わない)
        – 日光・温度変化でリセット
        – 時差ぼけするヒトは鋭いことになる
    – ないとはいえない
    – 五感が動物は極端になっているだけ

・五感も突き詰めれば物質とエネルギーを検知する2つに分類できる?
    – 例えば嗅覚は目に見えない物質にラベルをつけただけとか…

まとめ:
第六感と呼ばれるものの定義やその検知、未知の検知能力について話し合いました。様々な方向に話が広がり興味深い議論が出来ました。

[MBC2014] 10-1, 10-2 脂質二重層 膜タンパク

標準

担当:小舘
参加者:7名

節の概要:
細胞膜の構造である脂質二重層と、その機能を担う膜タンパクについて述べられている。

議論点:
細胞膜(壁)と生物進化の関係について

細胞膜:内と外を分ける かつ やりとりをする
→生物の起源にかかわる。

ウイルスはほとんどが細胞膜なし タンパク質の殻
→ウイルスのタンパク質、動物の細胞膜、植物の細胞壁を比較してみる

タンパク質
・かたい:外とのやりとりは大変?
・大きな構造をつくりづらい:複雑さに限界?
・イオンなどの障壁にはならなそう
・攻撃/防御のモード切り替え

細胞膜
・やわらかい
・大きな構造をつくれる
・イオンなどの障壁になる
・流動性をもつ
・組成の変更ができる

細胞壁
・強固
・簡単に大きくできる
・装甲になる
・壁にタンパク質を組み込める
・流動性はない

その他の話題
・細胞膜と細胞壁はそれほど違わなそう
・細菌とウイルスとでは、ウイルスは代謝ができないから細菌の方が先だろう
・膜の合成酵素をもたない生物は多分いない。その古さを見られれば起源解明?
・2種類の膜があることが重要そう

[MBC2014]8-4,8-5 DNAの解析と操作 遺伝子の発現と機能の解析

標準

担当:佐藤

参加者:7名
節の概要
8-4,8-5 DNAの解析と操作 遺伝子の発現と機能の解析

議論点
遺伝子機能特定方法の今後

 ーーーーー現在ーーーーー
 □現在の目標…全細胞、全条件での網羅的調査
        全細胞 → できそう(全細胞のDNAメチル化解析)
        全条件 → 条件が何かまだわからない場合すらある
               (全てのノックアウト組合せの解析、
                現実的にはある程度予測して2ペアくらいでやる)
 
 □現在の手法
  ○ノックアウト(遺伝子から形質を探す) ・・・現在の主流
    L 発現量測定(DNAマイクロアレイ)
    L 過剰発現(量を減らしてダメなら増やそうという考え)

  ○スクリーニング(形質から遺伝子を探す)
    L タンパク質のスクリーニング
    L 変異体のスクリーニング(GWAS)

  ○個々のタンパク質機能の解析(現在まだよくわかっていない)

 □現在の問題点
  ・ ノックアウトしただけでは形質に変異が出現しない場合がある
   →ある特定条件下において起こる可能性がある=条件特異性
   →全遺伝子のモデル化まで到達していない
   →様々な条件(環境因子等)も含んだモデルの作成
            ↓
 □問題への対処
  書かれていない要因(実験環境のデータなど)をどうデータ化する手段が必要
  考え得る手段は
   ・ データから要因を推定する(難しそう)
   ・ 自分たちで条件を記録しながら再実験
    (全ての条件を記録するわけにはいかない、ある程度絞る必要性)
  実例として、稲の栽培における環境データを集めた研究がある
  このような研究は手間(時間とお金)がかかる
   →今はまだマニアックな部類
               ↓
     未来の遺伝子機能特定方法の開発の糸口に?
 

 ーーーーー未来ーーーーー
 全タンパク質のシミュレーションが可能となり、より精密なモデル作成ができるように…
 

Nature Podcast(2014/05/01) Field lab

標準

担当:水谷
参加者:8名

概要
実際の現場で行われる新たな農業技術の開発へ向けた実験について

議論点
農家の持つ情報の集約および活用方法について

農家の持つ情報をデータベースに集約して,皆で活用出来ないか?
(肥料の量を気象状況によって決めるなど)

◯農業に関して収集可能なビッグデータ
 ・収穫量
 ・気象状況
 ・地理的特徴(土壌環境,土壌細菌のメタゲノム)
 ・与えた肥料,水量
 ・稲と稲の間隔など,農家のノウハウ
 ・品種

◯活用例
 ・農家ごとの最適プランを提示
 ・農業アプリを農協に提供
 ・農業についての人工知能を作る
  ⇛ 農業のビジネス化

◯大企業による農業への参入
 ・個々の農家を守るべき
 ・競争すべき

◯今後の展望
 ・収集可能なビッグデータからモデルを作成
 ⇛ アカデミックなデータベース
 ⇛ 趣味で農業をする人に向けたアプリの開発(これは既に存在)
 

Nature Podcast(2014/04/24) On the origin of men

標準

担当:小澤
参加者:7名

概要:
消え行くY染色体について

議論点:Y染色体による性決定のメリット・デメリット

XY型による性決定は哺乳類がほとんど

・Y染色体の遺伝子は20程度
 その中で性決定に関わるものはSRYのみ 生命活動に関わるものはない

Y染色体があることにより,特定の病気にかかりにくくなる
⇔一方,Y染色体があることによる男性特有の病気もある

性決定には,SRY遺伝子の有無が必要 転座によりXXでも男性になる可能性もある
近親婚で,二次性徴で性転換が発声するケースも

・Y染色体の安定期が存在するらしい 後に,消滅する可能性も

・仮にY染色体が消滅したとすると,SRY内の変異で性決定が起こる
  現在のXY型は,男女比がほぼ1:1で安定する

[MBC2014] 8-1〜8-3 細胞の単離と培養 タンパク質の精製 タンパク質の解析

標準

担当:安澤
参加者 :7名

節の概要

8-1:細胞の単離と培養方法、胚性幹細胞(ES)細胞と抗体の作成について
8-2:細胞の構成物の分画、タンパク質の分離手法
8-3:タンパク質やその相互作用の検出手法、構造解析やコンピュータによる配列比較など

議論点

 

iPS細胞を用いた再生医療について

  • 例:iPS細胞から作成した網膜細胞の移植(9/12)
    • 患者の皮膚細胞から作成
    • 1.3×3mm のシート
    • 作成に10ヶ月
      • iPS細胞作成:4ヶ月
      • 分化:4ヶ月
      • 培養:2ヶ月
  • iPS細胞について
    • ES細胞……胚性幹細胞、時に万能細胞とも
    • iPS細胞……人工多能性幹細胞
      • 今のところES細胞ほどの分化能はない
    • 元とする細胞や分化の方法で何種類か方法が存在
      →目標としてはES細胞並みの分化能を持つ細胞に初期化
    • 拒絶反応が起こりにくい点は再生医療にとって非常に有利
  • iPS細胞の課題点
    • コスト
      • 製造にクリーンルームが必要で維持費も高い
      • 与える成分によっては培養液が高くなりそう
        →安価にできれば普及に効きそう
    • 分化能について
      • 正しく分化できたかどうかについては判断し易そう
      • 分化させる細胞によって収率は変わるのではないか
    • がん化の可能性
      • 初期化要因のc-Myc遺伝子ががん化要因になりうる
        • 代わりにL-Mycを用いる案
      • 未分化細胞がテラトーマ(奇形腫)の原因になる
      • ヒトに近い動物で試験するのが難しい
    • 臓器のような複数種類の細胞が分業する組織を作るにはある程度まとまった量の細胞が必要
  • 問題点まとめ
    • 費用や時間がかかる→培養(量産)技術が必要
    • 分化の多様性や正確さ
    • がん化したり腫瘍の原因とならないか