[火曜討論会2015]大学生物の教科書 20章 種分化

標準

担当佐藤広
参加者9名

概要
 種分化とは同種の集団間で生殖隔離(遺伝子の交換ができない状況)が生じて新たな種が形成されることである。

議論:

 人類(ホモ・サピエンス)の種分化が進む可能性 

●本議論における種の定義
・遺伝子

●ホモ・サピエンス以前の種分化の原因
・大陸移動→食性、気温

●ホモ・サピエンス以後の種分化の原因(予想)
・大陸移動→可能性低(技術の進歩より)
・外界との接触を断つ
・他の星に移住
・クローン、遺伝子組み換えにより交配が停止

●種分化の結果
外界との接触を断った場合→抗体の減少等
他の星に移住した場合→その星の環境に適応(重力の変化による骨の強度の変化等)
クローン、遺伝子組み換えにより交配が停止した場合→理想を求めれば多様性は失われる?

●まとめ
人類の種分化の可能性は存在し、過去の種分化とは違った原因で種分化していくと思われる。
またクローンや遺伝子組み換えを考慮した種の定義について議論する必要がある。

[火曜討論会2015]Nature Podcast(2014/10/30) Cites for sore eyes

標準

担当:安澤
参加者:9人

概要

被引用数が最も多い論文の集計結果。トップを占めるタンパク質質量解 析手法の論文のように生物学における実験手法に関する論文が多く、ノーベル賞の対象となったような有名論文はトップ 100にない。被引用数が論文の重要度を表す全てではない。

議論

引用数を用いない、論文のより良い評価方法について

○どのような評価方法や指標が考えられるだろうか

  • 論文が読まれた数
    • オンラインであれば閲覧数・ダウンロード数・コメント数など
    • ただし過去の論文では使えない指標
  • 有用性を定量できないか
    • ジャーナルを評価する(インパクトファクター)
    • 研究者・研究機関を評価する
      • 論文集合にすることで評価が楽になる可能性
    • レビューをつける
      • SNSのようなサービス
        • 読書メーターのような論文メーターがあったら
        • CiteULike: 論文のソーシャルブックマーク
        • いいねボタン
      • 査読内容はオープンにならないのか?(難しい)
  • ある研究(者)が与えた影響の定量
    • どのような文脈で引用されたか
      • イントロでの引用はあまり重要ではなさそう
  • 再現の困難さを定量化
    •  GigaScienceのようなデータセットを共に提出するジャーナルなら可能?
  • タグから推測
    • MeSH Termなど
    • 今までにないタグの組み合わせを新しいジャンルや研究として検出?

◯そもそも価値のある論文とは?

  • 新しい発見(そもそも新規性がないと論文ではないのでは…) 
  • 面白いかどうか
  • 難問の解決
    • こういった観点から定量化できれば…

◯引用数からは何が解るだろうか

  • 同じニュアンスで引用が用いられていない一方、分野横断的に使える指標が引用数しかないという問題
    • ジャンルごとに重み付けなど
    • 引用先ごとに重み付け
  • 他分野で有用な指標があれば便利

 ◯機械学習の利用

  • 機械学習で重要な論文をみつけられないか
  • そもそも論文のレビューを(半)自動化できないだろうか

まとめ

引用数という指標の不十分さは判りつつも、現状で論文の重要度を担保している他の要素は主にどのジャーナルに掲載されたか、という印象。定量化の難しさはあるが、webサービスや機械学習の応用が進む中で新たな指標の出現に期待したい。

[火曜討論会2015]大学生物の教科書 19章 系統樹の復元とその利用

標準

担当:加賀谷

参加者:9名

概要
 系統樹は生物の形質から復元でき、生物を分類することができる。また、系統樹を利用することで生物学は比較、予言可能になる。

議題:系統樹とその他のデータの組み合わせることでわかること

   系統樹を他の分野で利用する


●系統樹の分類方法
・見た目や形
・遺伝子(分子系統樹)
・機能
・見た目や形は定量化しにくいが、大量のデータを機械的に画像解析等にかけた場合、何か発見があるかも?
・機械学習から、進化先の形質を予想できないか
●他のデータと組み合わせる
・地図と組み合わせてみる方法
 →現在でも、ヒトが地球上にどのように広がっていったかなどに利用されている
 →さらに時間軸等を追加して三次元化して見せる。

・わからない遺伝子などを、分子系統樹から推定する


まとめ
 系統樹は、分岐しながら進化していく過程を視覚的に捉えることができる便利な表現方法だと感じた。地図上に系統樹を描くことで、欠落してしまう情報を補うことができ、さらに三次元化することでもう一種類情報を付加できるため、よりわかりやすい系統樹を作り出すことができる可能性を感じた。

[火曜討論会2015]Nature Podcast(2014/10/23) Dinosaurs of distinction

標準

担当:池野
参加者:9名

元論文:
http://www.nature.com/nature/journal/v515/n7526/abs/nature13874.html

概要
デイノケイルスは、1965年に初めて化石が見つかって以来多くのことが謎に包まれたままだった。最近新たに発見された2つの標本により、近縁種には無い骨格的特徴が多数判明し、中湿性の環境に生息している巨大な雑食動物であるとわかった。

議題:未来で失われてしまっている情報、残っている情報、残すべき情報はなにか

◆残っている、または残すべき情報
・生物のDNAデータ
⇒DNAが残っていれば生物を復元できる可能性がある
・人間がつけているさまざまな記録は残るであろう

◆失われてしまいそうな情報・・・主に無形の情報
・言語や文化など
・(人間が未発見な)絶滅した生物についての情報
・リアルタイムなデータ
 ⇒どの程度細かくとっておくべきか?

・生物の行動(生態学)

◆情報には有形と無形のものがある
●有形の情報について
・将来どんな情報が必要とされるのかはなかなか考えつかない
・とりあえず網羅的にとっておけばいいのではないか
⇒現在、植物の種子を取っておいたりしている(シードバンク)

●無形の情報について
・文化、環境などは記録しておく必要
・生物の行動などの生態学的データ

人間の視覚情報の割合は大きい(80%くらい)
⇒これらは、画像、映像として空間情報を記録することである程度カバーできる?
 ⇒全体をまんべんなく、一部は詳しく記録すると良いのでは
  ⇒VRへの応用可能性

◆まとめ
現代では情報化に伴い記録されるデータはどんどん増えてきている。将来どんな情報が必要とされるかわからないので、網羅的に情報を記録しておくことが求められる。そのための一手法として、画像や映像による空間情報の記録があげられる。

[火曜討論会2015] Nature Podcast(2014/10/16) What’s the fracking point?

標準

担当:小舘
参加者:9名

元論文:
http://www.nature.com/nature/journal/v514/n7523/abs/nature13837.html

概要
シェールガス供給増加はエネルギーシステムを変化させうるが、気候変動緩和政策には必ずしも有効ではないことがシミュレーションにより示唆された。

議題:今後のエネルギー情勢の変化の分岐点では何が起こるだろうか

今使われているエネルギー資源
 原油、ガス、石炭、原子力、再生可能エネルギー、…
  ↓ 移行
将来のエネルギー資源
 シェールガス、微生物、核融合、メタンハイドレート、水素燃料…

●移行の理由として考えられること
・温暖化対策
・現在の資源の枯渇
・コスト
・安全性
・省電力化

●何が変わるか
・発電所の仕事が減る?
 →工業に移行するかも。
・石油産出国の勢力
 →ジェット燃料などで需要は残りそう。
・CO2減少? 生物への影響は?
・地下の汚染

●その他
・今のエネルギーが何に使われているかを知るところから
・コストの観点は強そう

[MBC2014] Nature Podcast (2014/10/02) Making your skin crawl

標準

担当:佐藤(SS)
参加者:7名

概要:
ヒト皮膚の多様な形状は微小環境と微生物コミュニティの関係調査に最適である。関係分析法などにより微生物の部位・個体特性、特徴付けのないメタゲノムを発見した。この研究はヒト疾患研究の基礎となり微生物の特性の影響を明確にするものである。
元論文:http://www.nature.com/nature/journal/v514/n7520/abs/nature13786.html?lang=en
http://www.nature.com/nature/journal/v514/n7520/abs/514044a.html?lang=en

議題:「沢山の人のマイクロバイオーム情報が得られたら、どのようなことがわかるか」

      口内、皮膚(足, 鼻腔etc)、腸内 etc
              ↑
◯マイクロバイオータ:その環境にいる生命体
◯マイクロバイオーム:その環境にいる生命体のメタゲノム情報
                         ↓
             生物種の構成 ← 「生物種情報」 → 働き
                         ↓
                         代謝情報

その環境にいる生物種がわかる ≒ 化合物環境がわかる
外毒素のような化合物は人に悪影響を与える(ピロリ菌)

マイクロバイオータは環境要因に影響を受ける
マイクロバイオーム情報は測定し易い
    ⇒ マイクロバイオーム情報で数多ある環境要因を記述できそう

◇どんなことに使えそうか
 人の体質と、その人のマイクロバイオーム情報があれば相関関係を記述できる
   ⇒マイクロバイオームを変化させる要因がわかるかも
     (exどんな食べ物、衣類、etc)
 人種・性別の特定(オーラルバイオームを利用した研究がある)
 居住地の特定も可能かもしれない

cf. 腸内フローラ 便移植
「NHKスペシャル 」

腸内フローラ
解明!驚異の細菌パワー

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2015/0222/index.html

[MBC2014] Nature Podcast(2014/09/25) Not so sweet

標準
担当:朴
参加者:8人
論文:http://www.nature.com/nature/journal/v513/n7519/full/nature13739.html
概要
島嶼生物地理学での種数–面積には正の関連が、種数–隔離度には負の関連があるという理論を検証した。また、地理的な面積や隔離度が決定要因となっていた過去と異なり、人新世では人間集団の経済的隔離が圧倒的な影響力を持つことが反映された。
議論
ヒトがいない世界はどうなっていたか、今とどんな違いがあるのか
人間が現在のように進化したTurning Pointは
-知能、言語、道具の使用、家畜化など
地球環境の必然性と偶然性を分けて、他の生物の場合でそれぞれのポイントを考えると
-知能
 サル、イルカなどの知能が発達したら、どうなったのか 
 知能の定量化はどうするのか -脳のボリューム、情報処理
-言語、つまり個体間のコミュニケーション能力
 個体間の協力によってもっと難しい作業も完成できる
ニッチが空いていれば、必ず何かの種がそこに入ってしまうようになる
-では、今のニッチを埋めているのは、なぜ人だけなのか ー好戦的
人間が埋めている地上以外のニッチを考えると
-空
 脳が大きくなると飛べない
-海
 流動性が強いので、スペースは広いが構成は複雑ではない。そして、資源が豊富で選択圧が強くない。

まとめ
ヒトの環境改変能力により、世界は変わりつつである。もしヒトがいなければ、他の種がこのニッチを埋めるはずである。

[MBC2014] Nature Podcast(2014/09/18) Not so sweet

標準

担当:安澤
参加者:8人

概要

ノンカロリー人工甘味料と腸内微生物相の変化および代謝異常との関連が認められ、人工甘味料の大量使用には再評価が必要であろう。

議論

データから迅速な安全性評価をすることは可能か 

○今回の場合
 人工甘味料の摂取→腸内細菌の構成や機能の変化→グルコース不耐性の発現

  • 宿主(マウス・ヒト)と細菌両方の代謝パスウェイ情報が必要そう

○安全性の検証実験に時間がかかる理由

  • 蓄積しないと影響が出ない
    • 蓄積により影響が出るもの:塩基配列の変異・代謝されない物質
  • マウス(実験動物)とヒトの類似性の限界
    • マウスで安全でもヒトで安全とは限らない
    • 食品添加物の試験はどのように行われているのだろうか

→短期間蓄積したデータから長期間の予測はできるだろうか?

  • 難しい、本質的には不可能。
  • 増加量(変化量)を一定と仮定して予測
  • ある物質が蓄積されるかどうか(長期間の影響を与えうるか)の評価はある程度できそう
    • ”予測不可能割合”の導出
  •  情報量を稼ぐ
    • 体内の常時モニタリング
    • (既に添加物などが一般化している場合は)多くのサンプルを採る

○ある物質が生体に与える影響の予測と安全性評価
 「ある物質の蓄積しやすさのデータ」があれば代謝経路のデータから予測できそう

  • 「安全」を恒常性(ホメオスタシス)が維持できると考えるなら…
    • 蓄積する物質という摂動があった時に、
    • 代謝パスウェイがどのように変化するか、アウトプットはどうなるかを予測
  • 予測のレベル
    • 発現量が変化した場合どうなるか
    • 他の遺伝子などの要因が追加で関わってきた場合どうなるか

→現状では定量的な予測をすることが難しい

  •  安全でない場合は説明しやすいが安全を担保するのは難しい

まとめ

食品添加物などの安全性をデータから迅速に判断しようとした時、長期的な影響をどう予測するか、生体内の現象を定量的に予測できるかという問題に直面すると考えられる。生体に影響を与える物質についての情報の蓄積や、より分子生物学的でリアルタイムなモニタリング技術、生体内の現象を定量的に扱えるモデルの登場が待たれる。

[MBC2014] Nature Podcast(2014/09/04) Snip snip

標準

担当:池野
参加者:8名

論文:http://www.nature.com/nature/journal/v513/n7516/full/nature13695.html

概要:
ガイドRNAを介した切断と多重相同組換え修復を用いて、ゲノム領域の飽和編集を行うことができる。これにより引き起こされる多数の変異の影響を測定することで、高分解能での遺伝子機能の解明や重要性が不明なバリアントの解釈の助けとなる。


議論点:ゲノムベースの機能予測・シミュレーションは可能か

現時点で確立されている手法
◆実験などによる知識を利用したもの
 ・タンパク質の立体構造の予測
  ・既知のタンパク質の配列との類似性から予測
   ⇒配列が似ているならば構造・機能が似ていると断定して良いのか?
  ・ポテンシャルエネルギーが最小になるような構造を計算することによる予測
 ⇒構造予測は機能予測につながる
◆実験などによる知識を利用しないもの
 ・MDによるシミュレーション
  ・計算コストは大きい
   ⇒近似的な予測はできないか?
    ・水分子の近似をする手法は存在している
    ・MDの計算を知識によって置き換えることはできないだろうか
MDについて
 ・計算可能な時間スケールは現在マイクロ秒程度
 ・長い時間でのシミュレーションが可能になると
  ・初期値決定のシビアさの緩和
  ・生体の反応は現在の計算可能な時間スケールよりも大きいスケールで行われる
   ⇒実験での観察結果との整合性が取れ、MDの妥当性を検証できるようになる
 ・MDは化学反応を起こせない
  ・電子レベルでの動きまで見れるようにできるだろうか
   ・量子力学を取り入れる必要性
まとめ:
ゲノムベースでの予測ということで、既知の知識を利用する手法となるべく利用しない手法があると考えられた。MDは、今後コンピュータの計算能力の向上にともなってより大きな時間スケールや高分解能でのシミュレーションが可能になると考えられる。

[MBC2014] Nature Podcast(2014/09/11) King of the swingers

標準

担当:小澤
参加者:8名

概要:
テナガザルのゲノム解析から,種特有トランスポゾンがもつゲノム可塑性を示唆

議論:
系統樹の正当性の考え方


過去は,表現型から系統樹を考えていた
今は,遺伝型から系統樹を定量的に考えることができる

2つの系統樹の間に生まれるギャップをどのように解釈するか


そもそも系統樹とは?
・利用目的によって作り方が違う 使用する種
 祖先の種や年代の推定が可能

・主に最尤法によって計算される
・計算の上で,知識による定義が使われる(分子時計など)

・有根と無根の2種類がある (起源がわかるかどうか)


昔は,表現型から,感覚的な区分しかできなかった
遺伝型からの推測が可能になり,(系統樹内の)葉がもつ配列の進化の歴史が見える
– その上で,変化に対する解釈には,地理的変動などの過去の背景知識が必要
– 最尤法による計算のため,偶発的な同座位への変異経過が見えなくなってしまう
   -> 遺伝型の違いを見るのには問題はないが,進化プロセスを見る点では問題がある