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[MBC2014] 7-4,7-5 専門化した細胞を作り出す分子遺伝機構,転写後の調節
標準担当:池野
参加者:7名
節の概要:
遺伝子調節による細胞の分化機構について述べている。
議論点:
エピジェネティックな遺伝情報の収集と活用について
収集について
エピジェネティックな遺伝の種類
・正のフィードバックループ
・メチル化
・ヒストン修飾
⇒この中で観察しやすいのはメチル化
一卵性双生児のメチル化パターンの差異から何か発見できないだろうか
⇒全身の細胞を見るのは大変。どこを見るか
・ホルモン系の制御を見れば良いのではないか
⇒ストレスの原因解明につながるかもしれない
・双子の身長差はどこから生じるのか
⇒成長期の過ごし方や幼少期の環境による?
エピジェネティックゲノムの注目度が高まっている
⇒データベースを作ってみては良いのではないだろうか
活用について
エピジェネティックゲノムを見る意義は?
・塩基配列だけではわからない疾患の発見・解明
・エピジェネティックゲノムはトランスクリプトームなどよりも安定していて急激には変化しない
・エピジェネティックゲノムは環境を記憶しているとも言える
⇒集団による違いを見ることで何かわかるかもしれない
Nature Podcast(2014/04/10) River resurrection
標準担当:寺嶋
参加者:8名
概要:
ダムの放水による大規模な生態学的・水文学的実験
議論:
「人間はエコシステムをどこまでコントロールできるのか」
「人為的な環境改変が許される範囲はどこまでだろうか」
・人間の環境へのコントロール
- コントロールにより環境のネットワークのエッジが強められたり、弱められたりする
→ 変化の大きさや影響を測定したい
– 例:川の位置の変更、高速道路、天気を変える、森林伐採、新しい生物種を導入
・環境の改変が許される範囲とは
- 生態系が元に戻る(可逆的な・ネットワークを壊さない)範囲内ならば大丈夫?
→ 地理的な要素というよりは生物種の個体数が可逆的である必要がある
- 人間に害が出ない
・環境はネットワークで表せる
1 ノード:生物種、エッジ:食物連鎖(食べる・食べられる)
2 ノード:地理的な要素、エッジ:因果関係(地理的な要素間の関係・事象間の関係)
→ 生物種と地理的要素の二部グラフ?
・推定をどのように行うか
- 今回のようなダムの放水の影響を調べたい場合…
- 水を増やしたらどうなるか(ダムの放水量をどうするか)
- シミュレーションをしてみる
- 高低差
- 吸収量
- 石の組成と大きさ
- 地層
- 衛星写真
- 植物の種類(事前知識が必要)
- 到達地点
→ 一番変化が見られそうなパラメータを決定
まとめ:
今回は環境に及ぼす影響とその範囲がどの程度なら許容されるかについてでしたが、他には水にまつわる議論点が多く出ていました。
[MBC2014] 7-1 〜 7-3 遺伝子調節の概観, 遺伝子調節に働くタンパク質のDNA結合モチーフ, 遺伝子スイッチの働くしくみ
標準担当:小舘
参加者:8名
節の概要:
体中で異なる細胞の機能や構造を生み出す、遺伝子調節のしくみについて述べている。
議論点:
細胞や生物の状態は遺伝子とその調節機構が分かれば記述できるだろうか
・ゲノム
・その調節
で発生や細胞1個の挙動をシミュレーション可能?
他になにか要る?
●タンパク質の状態
・メチル化などの修飾
・細胞内での場所、位置
●トポロジー
・相互作用、互いにどのように関わるか
●時定数
・反応の速さ
これらが分かればできそう。
→どうやって決めるか?
・トポロジーを記述しきれるか
majorなものからminorなものまで網羅するのは難しそう
・理想としては:分子の動きが全部分かればいいのに
MDとかはけっこう制約している
どこまでやれば十分か、どのくらい手を抜いていいか
→現在は職人芸に留まる。
Nature Podcast(2014/04/03) On the origin of humans
標準担当 : 小澤
参加者 : 9名
概要
議論点
ホモ属の定義について
・ホモ族の特徴
直立姿勢,二足歩行,道具を作る, etc.
ホモ属と猿人の違いはなんなのか
・属と種の違い
> 属
見た目や行動などから,人の視点によって決められる 線引きがあいまい
> 種
交配できるからどうか など
・バイオインフォマティックス的な処理
複数の種のゲノムから属の分類は可能か?
(種内の)連続的な変化をどのように処理するか
特定の(生物的・生態的)機能の有無を見る
ヒトの場合,形質の固定に約1000年かかる
もっと集団数が少ないと考えられる昔のホモ属は,より早く種間の分離が進む?
[MBC2014] 6−2,6−3:RNAからタンパク質へ RNA世界と生命の起源
標準担当:佐藤
開始コドンはなぜAUGのみなのか
・生物の開始コドン
細菌・ウイルス・・・開始コドン複数
環境の変化に柔軟に対応するため?
真核生物 ・・・基本ファーストAUG
原核生物 ・・・開始コドンの上流に見られる共通配列(SD配列)が強く影響する
・開始コドンの起源
初期の生物に開始コドンはあったのだろうか?
ーRNAワールドにおいてはなかっただろう(触媒作用も有していたため)
ータンパク合成指令の能力を獲得したあたりから出現したのではないか
・開始コドンが1つの理由
tRNAの量的な理由ではないため
終止コドンが3つである理由
ー終止コドン同士のバックアップのため
開始コドンが複数あると無秩序にタンパク合成が成されてしまう
↓
開始コドンと終止コドンの量的バランスの有力な理由
・開始コドンがトリプレットである理由
RNA読み取り機構が3つずつであるから4つや5つだと新しい機構が必要で非効率なため
・開始コドンがメチオニンと共通する暗号である理由
◯N末端が共通であると正規に合成されたタンパクだと判別できるため
◯ペプチド鎖をつなげる上で始まりがアミノ酸である必要があるため
[MBC2014]5-5, 5-6:相同組換え, 転移と保存型部位特異的組換え
標準担当:安澤
参加者 :9名
節の概要
5-5:相同組換えの仕組みおよびこれによるDNA修復と新たな塩基配列の形成
5-6:転移と保存型部位特異的組換えの仕組み
議論点
レトロウイルスおよびトランスポゾンの医療への応用について
- スプライシングが関わる病気の例:福山型筋ジストロフィー
- レトロトランスポゾン挿入によるスプライシング異常
- 遺伝子組込みを用いたドラッグデリバリー
- ターゲティングについて
- 全身の細胞
- 特定の組織の細胞
- 組込み時に糖鎖などで細胞を識別して侵入するのは難度が高い
- 挿入する配列にプロモーターを組み合わせて、遺伝子の挿入は全身、発現は特定の組織にする方法
- レトロウイルス・トランスポゾンについて
- 植物では表現形レベルでトランスポゾンが働いている例がよく見られる
- トウモロコシの粒の色など
- 動物ではあまり見られない?
- 植物よりシステムが協調的
- 幹細胞で挿入が起きないとわかりにくい?
- ゲノムの変化を時間軸で見れるといいかも
- レトロウイルスの塩基長が1〜10kbあるのである程度列で見れるシーケンシングが必要
- 水平伝播の要因
[MBC2014] 5-3, 5-4 DNA複製の開始と完了 DNA修復(B4 池野)
標準担当:池野
参加者:10名
節の概要:
5-3 DNAの複製開始地点と完了地点での複製機構の振る舞いについて
5-4 DNAに損傷が起こった時のその修復機構について
議論点:再生医療によって寿命は伸ばすことができるか
ヒトの寿命
・世界最高齢は122歳(死因は老衰)
・もともとは生物は生殖機能がある間だけ生きていれば良かったが、ヒトは長く生きようとする意志が生じた
テロメアと寿命の関係
・幹細胞は寿命が著しく長い
・心筋細胞は増えない
・ヒトは120歳程度でテロメアが0になる
老衰の定義
・免疫の暴走によって細胞が破壊され、老衰につながる
⇒ゲノムによって免疫は人それぞれ
⇒胸腺を作り免疫の教育をできれば免疫を補うことが可能?
脳の寿命
・脳は入れ替えられない
⇒脳をリフレッシュする、または一部入れ替える必要がある?
・神経細胞に関して
・神経細胞を1つなくすとどの程度記憶に影響が出るのか
・神経細胞を加えたときに脳に適応できるのか
・神経細胞を増やすことは可能かどうか
・機構を1から作るのと回復するのでは違いがある
1から作る機構を持っていても損傷や欠損を修復する機構は無く、ガイドが必要となる
[MBC2014] 5-1,5-2:DNA塩基配列の維持、DNA複製機構
標準担当:寺嶋
参加者:10名
節の概要:
4-1 変異率が低くある必要性とその推定方法
4-2 DNA複製と修復の機構
議論点:
「修復率の低下を防ぐには」
– 複製回数を減らす
- 太っているとがんになりやすい?
- 通常は60〜70兆の細胞がある
- 細胞の数が多い程がんになる細胞が多くなる?
- 太っていると細胞が多いのは確か
- ゾウとかは?
– 修復できなかった変異を修正する
- 放射線、活性酸素等
- 加齢による細胞の修復率の低下
- DNAの修復率の低下?
- DNAポリメラーゼ等が減る原因とは?
- 老化が原因?減ったから老化している?
- 変異の蓄積
- DNA変異
- メチル化パターン等の物質レベルの変化
- パターンを戻せばよさそう
– 修復率とがんの関係
- 加齢が原因の場合
- 修復率の低下
- 修復できなかった変異の蓄積
- がん全般
– 発がん性物質
- DNAを傷つける
- DNA本体を攻撃
- 活性酸素を作る
- 例:DNA染色液(らせんの間に入り込む)、タバコ
- らせんのゆがみを直すような物質により変異そのものを減らす
- 抑制遺伝子を増やす
- 適量が良いので個別にコントロールしたい
- 修復する物質を投入
– がんになりやすい細胞、なりにくい細胞と修復率
- ネズミは世代時間も短く、自然ではがんになりにくい
- ヒトは生き過ぎている
- ハダカデバネズミはがんにならない
- 体温が低いので、代謝の速度が遅い?
- がんになりやすい生物と比較したら修復率の低下の原因がわかりそう
- ips細胞とか?
- 進化の洗練を受けていないので参考にならないかも
- なりにくい臓器
- 心臓とか皮膚とか
- 考えられる要因
- 分裂回数
- 外部との接触の頻度
まとめ:
DNAの維持と複製についての基礎の節でしたが、変異率や変異の修復についての議論点が多く挙げられました。今回の議論点となった変異の修復率の低下については、変異の蓄積の結果であるがんについての話題が盛んでした。
[MBC2014] 4-5:ゲノム進化のしくみ
標準担当:小舘
参加者:10名
節の概要:
遺伝子やゲノムがどのように進化し、多様な生物を作り上げてきたかを見ていく。
議論点:
ヒト加速領域の機能はなにか
(ヒト加速領域:
ヒトとチンパンジーが分岐してからの約600万年間で
極めて例外的な速度で変化したDNA配列中の領域。
脳の発達時期にかかわる非翻訳RNAを指令。)
●大脳皮質:高次の認知
言語, 計算 など
●ヒトとチンパンジーの脳のちがい
・大きさ
チンパンジー:約400cc ヒト:約1350cc
・構造も違う?
配列はどう変化した?
→ヒト加速領域をチンパンジーのものと置き換えて
発現パターンを調べれば、機能はわかるのではないか。
●チンパンジー→ヒト→その先はどうなるか
脳は大きくなる?
・これまでの進化との環境のちがい
・脳の大きさは現在が最適か?
ヒト→分岐する?
宇宙に進出すればあり得るかも
・領域にSNPがあればそれを調べてみるのも手
・チンパンジーの研究:けっこう大変
・脳の大きさと能力はどう関わるか