MBCセミナー4-5

標準

担当:中村(篤)
参加者11名

節の概要
・複数の生物間で共通に見られるゲノムから、祖先のゲノムを推定することができる。また、ゲノムが変化する原因やその結果生じる変化について示す。

議論した点:遺伝子の新生は起こるか
・有用なタンパク質を作る遺伝子が新たにできることは無いのだろうか?
・まず転写因子が新たにできないといけない
・原核生物にはイントロンは無く、また複数の遺伝子が一気に転写されるので原核生物のほうが起こりやすそう
・タンパク質をコードする遺伝子ができなかったとしても、有用なRNAをコードする領域なら新生することはあるのではないだろうか?
・ヒトにあってチンパンジーにはない遺伝子があれば、遺伝子の新生が起きたと考えられないだろうか?
・共通の祖先由来の遺伝子がヒトには残り、チンパンジーからは失われてしまっただけの可能性もある
・単細胞生物が多細胞生物に進化したときには遺伝子の新生は起こったのだろうか?

他の議論点:
・ヒト加速領域でのゲノムの変異はなぜ加速したか
・動物細胞のミトコンドリアはなぜ変異しやすいか、また植物ではどうなのだろうか
・違う染色体に転移した遺伝子は何が変わるか
・遺伝子の可逆的な不活性化は無いのか
・トラフグのDNAはなぜ縮んだか
・他の種には加速領域はあるのか
・SNPの平均的な数は種によって違うのか
・ゲノムの変異率から、それぞれのゲノムの重要度を見てみたい
・血液型が将来一つになるとしたらどれが残るのか

感想:
多様な生物種が存在する理由付けとしては、遺伝子の重複と変異以外にも遺伝子の新生があった方が自然に感じました。
これから先の研究でそのような遺伝子が見つかったら面白いだろうなと思いました。

MBCセミナー 5-1: DNA塩基配列の維持

標準

担当:沼倉
参加者:11名

節の概要:
・生物が種として長期的に生存するには,環境変化への適応のためにDNAの変化が必要である.一方で,細胞の短期的生存にはDNAの変化は防がなければならない.
・1回のDNA複製あたりの変異率は,生物種に共通して10^9塩基に1つであることが観察されており,正確な複製が行われている.

議論した点:
1. DNA複製が完璧すぎて環境に適応できなかった例はあるか.
・例としては考えにくい…
・では,多様性は必然?
  - 1/10^9は,多様性のための生物的な最適解なのか,DNA修復の限界であるのか.
   - 変異率の調整は,DNAポリメラーゼの活性や,DNA修復機構の活性で調節可能.
    - DNAポリメラーゼのホモログはある?
    - PCRのクオリティのための研究などで調べられている?
     - 工学的な観点から言えば,まだ変異率を下げられそう?
      - HDDなどのビットのエラーレートと比べて?
     - スピードとクオリティはトレードオフ
      - 幹細胞とその他の細胞では,幹細胞の方が守られてほしいが,変異率は違うのか.
    - 大腸菌では,環境の変化があったときにS.O.Sを出して変異率を上げることがある.
     - ウイルスなどはそもそも変異率高い方が有利?
      - 変異率の高い限界(DNA複製の正確さの下限)はどこか.
     - ヒトなどの高等生物では変異率を可変にする例はない?
・生殖細胞と体細胞での変異率の最適化(切り分け)はなされているか.
  - 生物は生殖細胞を通して,次世代に受け継ぐのが使命.
  - 生殖細胞ではある程度変異が欲しいが,体細胞のDNA複製は完璧で良いのでは.

2. 変異の蓄積について
・ヒトゲノムの長さは3*10^9なので,1回のDNA複製あたり,変異が3個入る.
  - 分裂時のDNA複製で変異が入った細胞がまた分裂するので,変異は蓄積する.
  - 例えば10年後の自分のゲノムは今の自分のゲノムとどれくらい違う?(同じだと思っていたが…)
   - 機能が損なわれる変異を持った細胞は死んで,一定以上の変異は蓄積されない?
   - DNA複製時以外の,環境要因による変異の影響はどの程度?
    - がん化するほどの変異の原因は環境要因と考えられている?
・de novo変異の観察について
  - trioで観察するが,子が成人になってからそのゲノムを読むのでは体細胞分裂での変異も含めてしまっている?
  - 生殖細胞のゲノムをみないと観察できない?

他の議論点:

・変異率がもっと低ければより複雑な生物が生まれうるのか.
・変異が入っても機能が失われない遺伝子の例.
・DNAの長さ,遺伝子数,種内での個体数から,限界変異率を算出できないか.
・がんは生命のいつの時代からあるのか.
・環境要因による変異は何世代くらい受け継がれるのか.

感想:
5.1節が3ページと少なかったが,内容としては生物の進化の根本となるものであり,活発な議論を行うことができた.

The imoni 2012

標準

10月23日 芋煮が行われました。前日は雲一つない快晴で本番も晴れるだろうと思ったら、なんと雨!どっから雲が来たんでしょうか。

なので室内での開催です。

準備中です。
里芋の灰汁がたくさん出てきて取り除くのに時間がががが

 こちら、山形風調理班。絶妙なチームワークで大きな鍋にも関わらず、完成が一番早かったです。

斉藤「宮城風は俺に任せろっ!
とのことで、結構がんばってもらいました。

他と比べると小さい鍋なので、結構丁寧に作った鍋番号No.3 大林さんが持ってきてくれました。感謝です!

少し遅れて始まりました。4階の人々も巻き込んで30人弱が集まりました。セミナー室に入るのかと懸念されてましたが、意外となんとかなるもんですね。

みんなからおいしいと好評でした。味付けは当日、私がネットで調べて調味料は集めて、量はさじ加減で、という大雑把ぷりでもなんとかなりました。

誰かが持ってきた唐辛子を持ってきてくれました。なんだか本場のものらしいです。

                 

被害者の様子



なかなか良いリアクションをいただきました。結構辛いらしいです。












被害者の様子 part.2

いきまーす

がぶっ

やはり、辛いらしいですね。

〆のうどんです。カレーの素もあるので使って、カレーうどんにしました。
来年はどんな風な〆になるか楽しみです。

初の室内芋煮になりましたが、無事楽しくできてよかったです。
皆様お疲れ様でした。

写真:岡村さん
special thanks:中村さん
芋煮大臣:浅見

MBCセミナー 4-3: クロマチン構造の調節

標準

担当:藤原
参加者:11名

節の概要:
クロマチンはヒストン修飾と変種ヒストンの存在により多様な構造・機能をもつ。ヌクレオソーム内でのヒストン修飾の伝搬、クロマチンとセントロメアの関係、DNA複製・染色体複製におけるクロマチン構造の継承に関する説明を通して、真核生物におけるエピジェネティックな情報の重要性を示す。

議論した点:
1. 障壁配列がない場合、ヘテロクロマチンからユークロマチンへの広がりはどのようにして止まるのか
・ランダムではないか
  - ランダムだとしたら、ヒストン間で広がりが停止する確率・分布は?
・ヒストン修飾の読み取り・書き込みを行うタンパク質複合体がトリガーとなっているのではないか
  - このトリガーは通常のタンパク質複合体と同じ?
  - このトリガーはDNAの長さ・核の大きさに左右される?
  - (ジュラシックパークの例え話など…)

2. DNA情報とエピジェネティックな情報ではどちらの情報の割合が多いのか
・そもそもDNA情報とエピジェネティックな情報はどうやって比較するか
  - 遺伝子発現量 or 遺伝子突然変異?
・そもそもエピジェネティックな情報とはどんなものか
  - DNAにおけるATGCのようにパターンは決まっている?
  - ヒストン修飾の違いを利用した間接的なパターン推定?
  - (エピジェネティックマイクロアレイがあれば…)

他の議論点:
・DNA情報とエピジェネティックな情報それぞれが及ぼす影響の度合い
・DNA情報とエピジェネティックな情報それぞれがもつ各機能との相関
・ヒストン修飾の種類や機能はどこまでわかっているのか
・変種ヒストンの保存度が低くても大丈夫な理由
・変種ヒストンの種間でのバリエーションはどのくらいか
・iPS細胞ではエピジェネティックな情報はリセットされるのか
・ヒストンH4に変異があったら何が起こるか
・ヘテロクロマチンがどう必要なのか

感想:
議論では疑問点が多く残りましたが、どれも重要な話題だと思います。
特に、エピジェネティックな情報に関しては、その性質やDAN情報との関係について、さらなる理解が必要なのではないでしょうか。
また、エピジェネティックな情報のデータベースが実現したら面白そうだと感じました。

MBCセミナー4-4:染色体の全体構造

標準

担当:伊藤
参加者:11名

節の概要:ランプブラシ染色体や多糸染色体を用いて、間期染色体の構造を調べることができる。間期ヒト細胞ではそれぞれの染色体が特定の位置を占める傾向があるが、遺伝子発現のために移動する。有糸分裂時には間期染色体よりもさらに凝縮した構造をとっている。

議論1:人によって染色体の位置は異なるのか

  • 染色体の位置は変わらない⇔発現のための染色体の移動、分裂時の移動
  • 4Cによると染色体の位置は人によって変わらない結果?
  • 人によって変わらない利点
    • 制御しやすい?
  • 隣り合う染色体がつながる機構があるのか?

議論2:2つの相同染色体が同じ場所にない理由

  • たまたま?
  • 隣り合う染色体の好みが決まっている?→12、8、3番染色体
  • 片方が不活化されている?
他の議論点
  • 遺伝子発現に適した部位に移動するしきい値
  • ランプブラシ染色体がなぜこの形をとるのか
  • 遺伝子が移動するときにからまないのは?
  • ヘテロクロマチンの種類による違い。何種類あるのか?
  • 有糸分裂時に凝縮する必要性
  • 染色体の位置は核外からの影響に対して頑健であるか
  • 染色体が凝縮している時としていない時のエネルギー差
  • 核内小区間の場所はきまっているのか?

MBCセミナー 3-2: タンパク質の機能

標準
担当: 田高
参加者: 12名
節の概要:
タンパク質はそれぞれ決まったアミノ酸配列、それに起因する特定の三次元的な形に折り畳まれる。しかしながらタンパク質は固い塊ではなく精緻な動きができる部分があり、その力学的な動きと化学反応が連動する。そのような共役が生きている細胞の動的過程を支える能力をタンパク質へ与える源となっている。この節ではタンパク質が特定の分子に結合し、活性へつながる仕組みが説明される。
議論した点: 他の分室結合しないタンパク質はあるのか?
・教科の回答
 ・「他の分子と結合しないタンパク質はない」
・他の分子と結合しないようなタンパク質として考えられる例
 ・アクチン
  ・自分自身と結合して繊維状になる
   ・先端は他の分子と相互作用しないのか?
 ・水晶体
  ・物理的な作用を通して機能を果たしている
 ・狂牛病 βプリオンの例
  ・積み重なっているだけ?
・役割がないタンパク質はいるのか?
 ・いても分解される?
  ・どのようなものが分解されるのか?
   ・形が崩れているもの
   ・目印がついているものetc
・結論
 ・結合しないものはいるかもしれないが、水晶体のように場に対して物理的な作用を通して何らかの機能を果たしているのではないか?
他の議論点
・Cdkタンパク質が活性化されるトリガーとなる入力の数は減らせないのか
・酵素が自ら能動的に働くことはないのか
・タンパク質でエネルギー等を蓄えることはできないのか
・レチナールが光を検出する際の科学的な反応
・PPIネットワーク中における最大の相手数とそのハブが果たす機能
・タンパク質制御におけるPositive Feedbackの使い道
・なぜGタンパクはATPではなくGTPを使うのか
・超音波を使ってタンパク質の結合を制御できないのか
・PPIにおけるハブタンパクと生物種間の複雑性に相関はないのか
・抗体はなぜY字型なのか
・なぜ酵素は熱をエネルギーにできるのか

MBCセミナー 3-1: タンパク質の形と構造

標準

担当:齊藤
参加者:13名
節の概要:まず、アミノ酸の並び方からタンパク質の立体構造が決定される仕組みについて述べられ、その後に原子レベルでのタンパク質の構造をもとに、タンパク分子の形状が細胞内での機能を決める仕組みが述べられている。

議論した点: 形が全く違うが同じように働くタンパク質は存在するか
・触媒部位が同じならほかの部分が違っていてもかまわないのではないか
 ・機能を調節する部位も存在する
・別な形で同じ働きをするタンパク質は存在しうるが、一つあれば十分なので、あまり存在しないのではないか
 ・外部の環境によっては別な働き方のタンパク質が有利になることがあるかもしれない
・あるタンパク質にある物質が結合するというミクロの面では最適化されているかもしれない。しかし、もっと大きなレベルでみると別な形のタンパク質のほうがいいことはあるかもしれない。


他の議論点:
・アミノ酸の持つ電荷はどのように得られたのか
・安定な三次構造をとれるタンパク質ととれないタンパク質の違い
 ・2種類以上の安定した構造を持つタンパク質は作れないか
・αヘリックスとβシートが共通の折り畳みパターンとして用いられたことの必然性はあるか
 ・ほかにも共通したパターンは存在しないか
・タンパクモジュールにβシートが多いのはなぜか
・欠陥タンパク質は自然淘汰されたと考えられるが、それはどのように選ばれたのか
・生物の複雑性とは

感想:
タンパク質は普通、特有の三次元構造を持っている一方で、明確な構造を持たないタンパク質もまた多く存在することを初めて知り、驚きました。
タンパク質は非常に複雑であり、タンパク質の多様性について興味を持ちました。

MBCセミナー 2-3: 食物からのエネルギー獲得

標準

担当:沼倉
参加者: 15名
節の概要: 生物が生きるためにはエネルギーが必要である.動物は食物を分解することでエネルギーを獲得する.この節では糖の分解を中心にエネルギー獲得の過程をみる.

議論1 解糖系よりも効率の良い糖の分解経路はないのか.

・解糖系が最大のゲインであるかは,入力と最終産物の自由エネルギーの差から推定できる?
・多段であるステップをスキップできたりしないだろうか.
・中間産物をつくって多段であることの冗長性が系をロバストにしている.
 ・中間産物が他の生合成経路も使われる.
・グルコースではなくフルクトースが単位ではだめなのだろうか.

議論2 なぜ脂肪が蓄えられているのに,さらに食物を取り入れるのか.

・過剰な脂肪が疾患の危険性を高めることがある.
 ・脂肪が過剰なのは現代のヒトに限ったこと?
 ・野生動物ではどうか.
 ・食べられるときに食べられるだけ食べるとして,それは生存上有利なのか.

・筋肉中のグリコーゲンが脂肪より先に利用される.
 ・筋肉はどこまで減るのか.
 ・筋肉が減ることがエネルギー消費総量を減らすことにもなる?

他の議論点

・なぜ回路状の経路が進化上でき得たのか.
・なぜヒトなどでは窒素や硫黄を直接取り入れないようになったのか.
・進化上,非解糖系の経路の可能性はないか.
・冬眠状態のエネルギーの使われ方.
・代謝のネットワークは最適解なのか.
など

MBCセミナー1-3: 真核生物の遺伝情報

標準

担当:藤原
参加者:9名
節の概要:真核細胞の話から始まり、真核生物のゲノムやモデル生物、そしてその解析の難しさなどが述べられている。
議論した点:
・ミトコンドリアが細胞に吸収されたのはなぜか
大気が酸素に富むようになり、宿主(嫌気性)がミトコンドリア(好気性)を利用した
ミトコンドリアDNAでは変異が起こりやすいため、宿主DNAへ遺伝子が移った
エネルギーの供給と引き換えにミトコンドリアは宿主に機能を任せた


他の議論点:
ミトコンドリアはなぜ細胞外に排出されなかったのか

細胞内での分解の流れ
葉緑体をもつ動物は存在するか
ミトコンドリアとその宿主はどちらが先に発生したのか
トラフグのゲノムが小さいわけ
ショウジョウバエの特定の染色体が巨大なわけ
調節DNAの仕事の流れ


感想:
節の構成もそうでしたが、議論点がミトコンドリアに集中しました。

ミトコンドリアが独自のDNAをもつことを初めて知り、細胞単位での生物の進化や共生に興味がいっそう湧きました。


MBCセミナー2-2 細胞の化学組成

標準

担当:伊藤
参加者:9名
節の概要:原子、分子の説明から入り、細胞内の化学物質組成の多くを占める脂質、DNA,RNA,タンパク質、多糖などの巨大分子の性質が述べられている。

議論した点:

糖の酵素はできるのか

酵素として働くには立体構造をとる必要がある
分子が大きいため、自由度が低そう
極性部分が多いため、疎水性部分が内側に集まるなどの力が働かない
RNAなどのように相補性がないため立体構造を作りづらい

・エネルギーを蓄えるときの糖と脂肪の違い

どちらも最終的にATPを経由する→ミトコンドリアと関わってくる
糖は効率悪いが、利用しやすい。神経では糖を利用
脂肪は使いにくいが効率が良い
糖は4kcal/g、脂肪は9kcal/g

・保留(次回の内容)
糖と脂肪の代謝経路の違い
ミトコンドリアにおいて糖と脂肪がどのように使われているか

他の議論点:

脂肪酸の炭化水素鎖の長さ
原子間の引力・斥力とは何か
立体構造が唯一に決まる理由
ATPはなぜ多く使われているのか
H,C,N,Oが使われる理由

感想:

糖の酵素はできるのかという議論によって、糖とタンパク質、RNAとの違いについての理解が深まった。次回への保留点があるので注目して読み進めていきたい。