HMGセミナー 第12章:ポストゲノム時代の遺伝子機能の研究(前半)

標準

担当:寺嶋
参加者:9名
教科書:ヒトの分子遺伝学


節の概要:
<12.1節>現在の遺伝子機能の研究の概要
<12.2節>配列相同性検索、データベース検索、モチーフやドメインによる検索といったバイオインフォマティクスからのアプローチ

議論点:
これからどの総合的な解析(オミクス)の研究が面白くなっていくのだろうか

バイオインフォマティクス
 -オミクスのどの分野でも出来る
過去十年間はゲノムが主流だった
 →今の主流、他のに移行するのだろうか
 →ゲノムのイメージが変化している
-遺伝子は、昔はタンパク質をコードするものであったが、今はRNAも重要であることが分かっている
   →生存上重要性の低い部分が分かってきただけかも
    →ある生物を生物足らしめるという意味での重要性が判明しているのでは
     →シス配列による調節の違いが大きいのではないか
ヒトとチンパンジーはゲノムがあまり違わないので、ゲノムだけを見て個々の生物としての決定的な違いを見つけることは難しい
RNAやタンパク質よりも、元となるゲノムを見てゲノムの意味を考えるのはどうか
無脊椎動物ではトランスクリプトームが主流
 -ゲノムが大き過ぎて大変
  -純系を作るのが大変
   →ゲノムを1つに定めないと他の実験に使えない
    -サンプルを用意するだけでも大変
    →特定の遺伝子だけの大雑把な解析ならゲノムでも出来そう
トランスクリプトーム解析
 -発現量の解析
  -環境が重要になってくる
 -ゲノムの代用品
医学的応用ならタンパク質、進化の研究ならゲノムというように用途が分かれそう
ヒトのトランスクリプトーム解析はよく調べられている
 -プロテオームやメタボロームの段階に進めそう
メタボローム
 -結果を先に見る逆遺伝学的な手法が主流
 -食料は代謝産物が多いので重要かもしれない
アレルギー
 -リピドームとか
 -セルコミュニケーション等が重要そう
ゲノム至上主義
 -全ての生物のゲノムを全て読んだら終わるのだろうか
  -100年くらいあれば可能
   →ハードディスクが足りないかもしれない
    →差分を取ったり、技術の進化で何とかなるのではないか
    -圧縮
    -ツリー番号
     →検索が速い
     →進化という点から見ても重要
 -20年後くらいの未来
  -中国人全員のゲノムを読むとかありそう
   -オリンピック関連とか、国をあげて取り組みやすそうな要素があればあり得るかも
  -アメリカもゲノムを読むのが主流になりそう
  -個人の判別とかも出来るようになりそう
1000人プロジェクトは終了している
 -100万人プロジェクトも進行している
 -4かけくらいで読んでいる
  -傾向だけを掴むならそこまで詳細には読まなくてもよい
   →個人であればしっかりと読む必要がある
シークエンサーの未来
 -10年で世代はどの程度進むだろうか
  →2世代くらいは進むかもしれない
 -過去〜現在までで開発されている世代
  -次世代:電気泳動不要
  -第3世代:PCR不要
  -第4世代:合成不要
 -未来の世代に求められる要素
  -抽出しない
  -増幅しなくても読める
   -DNAを伸ばしながら読む
  -生体内で観察
   -ナノテクノロジーでできそう
    -合成されていく様子を観察できないだろうか
その他の議論点:

<遺伝子の機能の分類>
遺伝子オントロジーは曖昧な部分がある分類であるが、どこまで有効なものなのか
遺伝子の機能の分類は3種類で十分なのだろうか

<配列相同性検索>
配列は似ているが構造は似ていないものの機能予測はできるのだろうか
遺伝子相同性検索で分からない遺伝子の機能はあるのか

総合的な解析(オミクス)
各種の総合的な解析(オミクス)の研究結果はどの程度重ね合わせられるものだろうか
プロテオームやトランスクリプトームでは、どこまでの部分が共通なのか

<遺伝子の定義
シス配列のように配列そのものが機能する場合には遺伝子とは呼ばないのはなぜか

まとめ:
今回の章では遺伝子の機能について扱い、前半は遺伝子機能の研究の概要とバイオインフォマティクスのアプローチについてでした。議論では、おそらくこれからもゲノムが主流であり続けるだろうという結論に至りました。

HMGセミナー 第10章 (2)

標準

担当:小澤
参加者:15名
教科書:ヒトの分子遺伝学


節の概要:
<10.4節> 進化系統樹の作成とそこから分かる事実について
<10.5節> 10章のまとめ モデル生物、比較ゲノム学、進化で明らかになった点について

議論点:
「ダックスフンドの将来について」

ダックスフンドは、成熟軟骨細胞の発現により短足となっている
短足は生きるのに不利ではないのか
 – 短足であることで、狩りに有利

ダックスフンドは、自然発生とブリーディングのどちらによって生まれた種か
 – ブリーディング
 – コーギーも同様にブリーディング

短足という表現型は、劣性・優性で決まるか、それとも細胞の発現量で決まるのか
 – 劣性・優性の場合、普通の犬から一遺伝子変化から短足の犬が生じる可能性がある

短足でも、ヒトの環境では生きていけることができるので、表現型が固定された?
 – ヒトの場合でも、小人の一族が存在する


その他の議論点:
<進化全般>
・スプライシングと進化の関係性
・負の選択圧が進化にどの程度機能しているか

<進化系統樹>
・違う祖先で、相同性を持つ配列が存在するか
・新筧藤樹がかけるという仮説はどの程度成り立つのか
・進化速度が一定であるという仮説は正しいと言えるのか
・進化系統樹の形状の偏りの原因

<ヒトの進化>
・将来、ヒトが進化した後の姿について
・ヒトをヒトたらしめているものについて
・ネアンデルタール人とホモサピエンスは、交配していたが、本当に分岐していると言えるのか
・ヒトとチンパンジーが分岐した理由

<その他>
・遺伝子消失の早さの原因
・ハエにヒトの遺伝子を埋め込み、翅を生えさせたときに太った原因
・一部の生物において、ゲノムDNA量に制約を持つことのメリット
・ゾウリムシや単細胞原生動物の上限の遺伝子数が定まる理由

まとめ:
 今回の範囲は、進化系統樹とそこから分かる事実にについて取り扱いました。過去に起きた進化の要因についてやこれから起こりうる進化などの議論点が多く挙がりましたが、短足という一見不利な特徴を持つダックスフンドについて議論しました。

HMGセミナー 第10章: モデル生物、比較ゲノム学、進化 (1)

標準

担当:寺嶋
参加者:14名
教科書:ヒトの分子遺伝学


節の概要:
<10.1節>単細胞生物からヒトまでの様々なモデル生物について
<10.2節>コード配列の純化選択による保存や正の選択による進化と、比較ゲノム解析の仕組みやブラウザ、利用方法

議論点:
「非コードRNA(ncRNA)は生存するためにはどの程度必要なのか」


タンパク質の領域は少ない
 -ゲノムの殆どはガラクタ?
  →ゲノムは広範囲に転写されており必要なncRNAもある
   -全部必要なものかもしれない?
   -無闇に転写される?
    -何かあったときのため

ncRNAはどのように機能するか
 -調節が多い
 -転写は急速にできる

「生存できる」の定義
 -最低限必要なRNA
 -何らかの働きがあるRNAということではない
 -使用の有無を問わず、勝手に転写されるRNAは含まない

染色体の数%が無くても生存は可能
 -まだまだRNAの数は削る事が出来る?

恒温動物⇔変温動物
 -恒温動物の方がエネルギー消費は大きい

未知の環境に適応する事を考える
 -環境の厳しさをレベルで表す
  -例:レベル2で必要なRNA△△

余計なコピーも害がなければ問題が無い
 -ゲノム的には無駄
 -飢餓状態なら影響があるかも?
  →むしろ飢餓状態の対応を忘れた方が長生きできる
   -例:食料が豊富な実験室のマウス
   -環境に適応できない事は悪いことではない

短期と長期の適応
 -短期に対する過学習はよくない

その他の議論点:
<人工合成学>
・人工のモデル生物はどの程度実際のモデル生物に似ているのか
・人工生命体は作れるのか
・合成生物学の特徴とは何か

<モデル生物としてのヒト>
・ヒトをモデル生物とする研究は今後どのようになるのか
・2020年までに個人のゲノム配列決定は日常的になるのか

<ヒト以外のモデル生物の解析>
・酵母で人類が知るに値する事柄とは何か
・人以外のゲノムも簡単に読める時代が来るのか
・人間の脳に近い脳を持つマウスを作ることは可能だろうか

<正の選択>
・正の選択が起こる理由とは何か

<比較ゲノム解析>
・比較ゲノム学で現在残されている問題とは何か
・保存される非コード配列で偽陽性と判断されるものを減らす方法はあるのか

<非コード配列の探索>
・SNP頻度からヒトの遺伝子調節配列を見つけられないか?

まとめ:
今回はモデル生物とゲノムの進化と保存、比較ゲノム解析についての節で話題が多かったので、色々な内容の議論点が集まりました。議題となった生存に必要な非コードRNAについては、様々な条件を中心に環境への適応へと議論が発展していきました。

HMGセミナー 第10章: モデル生物、比較ゲノム学、進化 (2)

標準

担当: 田高
参加者: 14名
教科書: ヒトの分子遺伝学

節の概要:
哺乳類(脊椎動物)のゲノム進化

議論点:
教科書中では性決定要因として環境的要因・遺伝的要因の2つが挙げられていたが、それぞれの特徴にはどのようなものがあるか。

・高等生物: 遺伝的要因、下等生物: 環境的要因の様なイメージ

・種による性決定要因の一例
 ・は虫類: 温度 (←ほ乳類には無理では?)
 ・魚類: 群れの中での相対的大きさなどいろいろ
 ・ミジンコ・アブラムシ: 饑餓など環境の悪化の直前に雄をつくる(生み分け)
  →補食される側は環境的要因?

・下等生物だと雄・雌の違いがあまり無いから状況により変化するのでは?
 ・ほ乳類では性転換が起こるとするなら乳腺を作るetc等は無理?
 ・定性的には?

・性転換にかかる時間はどうか?
 ・セブラフィッシュでは半年くらい

・高等・下等というより集団の大きさ・個体の安定性が効くのでは?

・進化的な制約は無いのか? (倍数性etc.)

・雄へテロ・雌ヘテロではどちらが有利か?

その他の議論点:

・全ゲノム重複のあいだ、生物はどうやって生きていたか
・全ゲノム重複と表現型の変化について
・全ゲノム重複においてどんな遺伝子が消滅を免れるのか。それはなぜか
・植物では全ゲノム重複が盛んに起きているがそれはなぜか
・哺乳類のなかで多倍体は存在しないのか
・哺乳類などでゲノム再編成が起こるきっかけにはどのようなものがあるか

・「Y染色体の遺伝子欠失に呼応してX染色体の不活性化が促進された」とあるがそれはなぜか
・表現型とゲノムの違いが生物分類に与える影響について

・インドキョンはなぜ染色体融合が起きたのか
・染色体が消えることによる種の絶滅の可能性について(中国種のインドキョン)
・PAR1領域は雄性減数分裂時に必ず交差が起こる部位であるが、その必然性について
・メダカ等同じ種類の生物の中でも異なる性決定機構をもつような生物がいるがそのメリットについて

HMGセミナー 第8章:遺伝子とゲノムの構造および発現を解析する (2)

標準

担当: 小澤
参加者: 13名
教科書: ヒトの分子遺伝学
節の概要:
 ハイブリダイゼーションや抗体などを利用した遺伝子発現の基本的解析について
 トランスクリプトミクスやプロテオミクスといった遺伝子の大量解析について
議論点:
タンパク質検知のための技術について
・塩基発現解析にはシーケンサー技術があるのに対して、タンパク質解析には存在しない
・アミノ酸は相補鎖を作らない上、数が多い
・タンパク質を変性剤により鎖状にして解析すればできそう
 - 翻訳後修飾がバラバラになりそう
・X線やNMRといったタンパク質の構造解析
 - 計算機による演算の後、人による予測を行っている
   – 遺伝子密度から自動で構造予測をする技術があれば、
・X線は遺伝子密度を調べる
  – His-tagによる結晶生成がうまくいけば精度が上がる
・結晶解析は等方性に比べ、異方性が難しい
 - タンパク質は等方性が珍しく、異方性に対する技術が進められている
・アミノ酸20種分の標識を利用する
 - 単一のタンパク質にしか扱えない
   – 抗体を利用した技術が開発されている
その他の議論点:
・発現マップング法の解像度と解析量を共に高める方法
・トランスクリプトームとプロテオミクスの結果の違い
・マイクロアレイを用いた発現データの解析手法の使い分けについて
・ハイブリダイゼーションのプローブの設計指針
・タンパク質発現解析手法の使い分けについて
・抗体を不死化することによって生じる問題点
・抗体を安価で利用する方法
・GAP以外の蛍光標識について
・質量分析の結果が生体内とどの程度一致するか
・PCRを利用した転写産物検出よりもハイブリダイゼーションが多く用いられている理由
・個人のゲノム解析の展望
まとめ:
タンパク質解析に対する議論となりました。
アイデアは幾つか挙げられましたが、現時点では技術的に難しそうです。
大量解析に必要不可欠な技術なので、今後の展望が気になるところです。

HMGセミナー 第8章:遺伝子とゲノムの構造および発現を解析する(1)

標準

担当:寺嶋友美
参加者:16名
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:

<8.1節> DNAライブラリーやcDNAライブラリーの作製法、スクリーニング法、増幅の際の問題点について
<8.2節>酵素法から第三世代シークエンサーに至るまでの DNA塩基配列決定の様々な方法とDNAキャプチャーによる再配列決定について


語句:
かけ…ゲノムを読む回数。
SD…ある集団(ここではPCRにより増幅されたゲノム)の濃淡の分布。対数正規分布の標準偏差。

議論点:
「DNAのシークエンシングのエラーを検出する方法について

・シークエンサーの問題点
 ー正確な部分と怪しい部分がある
  ー原因:体細胞変異、シークエンシングの時の誤り

・2つのシークエンサーで結果が違う場合
 ーメーカーによって正確性は違う
 ー何らかの方法で正確性を比べたい
  ー信頼度はある?
   ー蛍光を使う方法なら各塩基を検出した時の光の強度
   ーQスコア
    ー間違える確率
    ーQスコアの信頼度は手法毎に違う?
     ー初代と次世代だと初代の方がQスコアの信頼度は高い
    ー足切りに使う

・パックバイオ
 ー1分子毎、大量に配列を読む、エラーが多い
 ー20%くらい間違う
 ーSMRTと同じ技術を使用

・SNPの場合
 ー30かけくらいでも正確
 ーSDが大きいと正確な部分と怪しい部分のばらつきが大きくなる
  ーSDを小さくできる?
   ー技術的には可能性がある

・PCRによる問題
 ー次世代シークエンサー
  ーブリッジRCR
   ー基盤上で増幅して画像から読む
 ー第三世代のシークエンサー
  ーPCRをしないPCRフリー
   ーPCRによる問題がなくなる
 →1分子の大量並列DNA塩基配列決定法が出てくればいい
  ー1分子はエラーが多い
   ー今のところ何度も読むか、他のシークエンサーで補うしかない
 →PCRで複製がうまくいかなかった部分だけをもう一度PCRで増幅するプログラムがあればいい

その他の議論点:
<DNAライブラリー>
・大きなDNAを複製する場合には、PCRよりも細胞の方が優れているが、それはなぜか
・DNAライブラリーを増幅する際に起きうる、オリジナルな構成の破壊への対策について
・分与されたDNAライブラリーは同じ物だろうか
・DNAライブラリーに寿命はあるのか

<塩基配列決定法>
・蛍光による塩基配列決定法はどの程度正確なのか
・初代のシークエンサーの方法(酵素法)では大量に配列を決定する事は出来ないのか
・ジデオキシ法では、伸長を確率により制御するため配列の偏りがありそうだが、それをどう解決しているのか
・大量並列DNA塩基配列決定において、リード長と総配列情報量ではどちらがより重要なのだろうか
・1分子による大量並列DNA塩基配列決定において、反復配列等を読む事で異常なデータがとれるといった不具合は生じないのか
・シークエンシングはどこまで省略可能なのだろうか

<シークエンサー>

・SMRTとナノポアではどちらが主流となるだろうか

・現在研究されている他のシークエンサーについて

・表8.1でまだ出来ていないシークエンサー(Pacific Biosciences)が普及したらどうなるのか

・メイド・イン・ジャパンの世界一のシークエンサーは作れないのか

まとめ:
塩基配列決定法、その中でもシークエンサーに関する議論点が多く出ました。今までのシークエンサーの問題点をはっきりとさせた事で、第三世代での正確性を実現するための具体的な案が集まったように思います。

HMGセミナー 第6章: DNAの増幅 (後半)

標準
担当: 田高
参加者: 17名
教科書: ヒトの分子遺伝学
節の概要:
遺伝子発現を目的とした細胞を用いたクローニング手法に関して述べられている
in vitroにおけるクローニング手法であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)やPCRを用いた応用技術に関して述べられている
議論点:
教科書では昆虫細胞でバキュロウイルスを用いた遺伝子の一過性発現系に関して述べられており、これを用いて生産されたタンパク質はほ乳類細胞で発現されたタンパク質と同様であると見なしうると記されている。しかし、本当に昆虫細胞での発現をほ乳類細胞での発現と見なしてもよいのか?
  • 昆虫とヒト
    • 構造が違う
  • 昆虫細胞でヒト型のタンパク質は生産できる。
  • 酵母とヒトの糖鎖(修飾)には違いがある。
    • 修飾の違いは問題になり得るのでは?
  • 細菌はタンパク質は生産するが修飾はしない
    • 修飾が関係なければOK?
  • 実験室的な試行の順番
    • 細菌→酵母→昆虫
    • 細菌→バキュロウイルス
  • 昆虫+バキュロウイルスは使いやすい
  • 昆虫には骨が無い
    • 骨の周りor骨に関係するタンパク質では影響があるのでは?
      • 培養細胞を使って行うためある程度はOKだが100%ではない可能性がある
結論: 議論点に対する結論を出すのは難しい。
その他の議論点:
・PCRで増幅可能なサイズの上限は5kbほどであると述べられているがそれはなぜか。
・クローニングを行う際に大腸菌がよく利用されるがそれはなぜか。
・PCRは30~40サイクルで終了するが、その理由として阻害物質が蓄積するということが挙げられている。それはなぜか。
・ほ乳類細胞に導入された遺伝子は細胞の染色体DNAへ組み込むことが可能であるがその組み込まれる効率は低いと述べられている。それはなぜか。
・昆虫細胞でバキュロウイルスを用いた一過性発現のデメリットにはどのようなものがあるか。
・PCRで用いられるDNAポリメラーゼは高温でも活性を持っている。どのような仕組みになっているのか。
・PCRを自動化できないか。
・現在、組み替えがうまくいっているかどうかを調べるためには抗生物質を使う方法が用いられるが、抗生物質を使わない確認方法は無いのか。
・翻訳後修飾が無くてタンパク質が不安定になるのは真核生物の特徴なのか。それとも原核生物の特徴なのか。
・昆虫細胞の法が組み替えたタンパク質を導入しやすいが、それはなぜか。
・細菌はどのくらいの高温でも生きることができるのか。
・PCRのサイクル数は標的配列やプライマーなどによって変わるのか。
・昆虫を用いた一過性発現系に関して述べられていたが、持続性発現系は存在するのか。
・クローニングには細胞系を使うものとPCRの様に細胞を使わないものがあるがそれらの折衷案のようなものはあるのか。

HMGセミナー 第5章:発生の仕組み(後半)

標準

担当:齊藤俊幸
参加者:13名
教科書:ヒトの分子遺伝学
節の概要:
<5.5節>受精から原腸陥入までのヒトの発生について述べられている
<5.6節>原腸陥入後の神経系の初期発生について述べられている
<5.7節>ほ乳類における生殖細胞と性決定について述べられている
<5.8節>生物種間での発生過程の保存性について述べられている
議論点:
「胎盤を形成するときに、親子間で遺伝子が異なるという問題をどう解決しているのか」

ー胎盤の形成は一部は胎児由来で、一部は母体由来で作られる。
 しかし、親子間ではゲノムが異なるため、免疫が働きそうだと想像する。
 ー母体と作用するので、免疫系のチェックを受けないことは不可能である。
  ー母親にも子供の遺伝子が混じる
 ーゲノムの半分が同じことがきいている?
  ー代理母出産も可能である
   ー代理母出産と通常の出産にはどのような違いがあるのか
 ー親子間での免疫のやり取りは?
  ー親と子の間でT細胞を通さないバリアーは存在する
  ー親から子へ免疫系を渡している(卵に免疫系は内)
 ー免疫系を緩和している?
  ーヒトに対してのみ緩和?
  ー全体的に緩和?
 ー母体と異なる生物種の子供を産ませる実験
  ーヒトにネアンデルタール人の子供
  ー象にマンモスの子供
  ーマグロにサバの子供
 ー遺伝子の違いをそれほど気にしないようなシステムにしている?


その他の議論点:
・ほ乳類の初期胚細胞のうち、成体細胞になるのがその一部のみである理由
・卵の大きさは何によって決まるのか
・ほ乳類が回転卵割を行なう理由
・一卵性双生児のでき方による胎児の違いはあるのか
・ほ乳類とモデル生物の初期発生の違いによるメリット、デメリット
・受精時に性が決定するのに、胚が両能性を持つ理由
・原腸陥入はなぜ短期間で起きるのか
・着床の時に胚の向きは制御されているのか?

・環境による分化と細胞系譜による分化の切り替えはどうなっているのか
・ニューロンの分化の過程でどの程度個人差があるのか

・経路は保存されているが、役割が生物種で異なる経路はどのようなものか

まとめ:
母体と胎児のゲノムの違いをどう解決するかという問題に対して
様々な意見がだされ、そのなかで母親と異なる種の子供を生むような実験が
なされているという話がありました。
母体においてゲノムの違いの判別を緩めるようなシステムがありそうだと
想像しますが、それがどのようなシステムであるのか気になります。

HMGセミナー 第5章:発生の仕組み(前半)

標準

担当:寺嶋友美
参加者:13名
教科書:ヒトの分子遺伝学
節の概要:
<5.1節>発生についての概略とモデル生物について述べられている
<5.2節>発生過程での細胞の存在部位や細胞系譜による分化について述べられている
<5.3節>発生におけるパターン形成について、体軸やモルフォゲン(濃度により異なる作用を示すシグナル分子)、ホメオスティック遺伝子(個々の細胞の位置によりどのように振る舞うか決定する遺伝子)等が述べられている
<5.4節>発生における形態形成の過程について述べられている
議論点:
「アポトーシスで不要な細胞を取り除くのではなく、必要な細胞だけ作ることはできないのか」

ー作ってから削るのはエネルギーの無駄
 ー手の場合:最初から手を作るよりはヒレの方が簡単そう
  ーヒレは進化で無くなったりはしないのだろうか
 ー必要な部分と不必要な部分を作ってから分ける方がやりやすそう
 ーアポトーシスではなく細胞が動くのではどうか
  ー例:神経の細胞とか
  ー一般的には難しい
ー口は2つの唇を作ってからつなぐ
 ー複雑な物ほど後から削るタイプになる?
ー手のひらから指を生やすよりヒレに切り込みを入れる方が楽
 ーそのような進化の例:魚のヒレ、虫の体節
 ー指を生やす事はできない?
  ー多指症は?
   ー切り込みがいっぱいあるせい
 ーバランスが取りやすい
ー体の外だと濃度勾配で制御できない
  ーヒレに切り込みならモルフォゲンで制御できるが、生やす方向だと別の要因で決める必要がある
ーニワトリの羽と足はどっちでもよさそうな仕組みになってる
「進化の過程で体軸を決めるシステムはどのようにして変化しているのか」
ーどの時点で左右ができたのか
 ー体軸は2つで十分、最悪1つでもいい
  ー大腸菌は鞭毛の多い少ないがあるから2つ
  ーアメーバなんかは1つ?
 ー3軸がどのようにして出来たか
  ー重力と自転
   ー完全に左右対称だとバランスがとれない
   ーニワトリは卵を暖めるときに回転させてるから重力だけで決定しているわけではない
  ー虫は生みっぱなし
   ー卵が丸じゃないのもいる
  ー物理的な物だから軸が完全になくなる事はない
その他の議論点:
<モデル生物>
・線虫のことがこんなに分かっているのはなぜなのか

<細胞の分化>
・存在部位ではなく細胞系譜により分化が決まる仕組みが少ないのはなぜか
・存在部位で決まる場合、位置の情報以外の情報はいらないのか
・全能性を持つ細胞は分化する時にシグナルを受け取る受容体を持っているのか

<左右の非相称性>
・左右はなぜ非総称なのか
・図5.4において正常な配置の人が多い理由
・左右非相称で増えても問題がない臓器とそうでない臓器の違い
・転写因子が活性化する際の左右の偏りはなぜ生じる?

<ホメオスティック遺伝子>
・ホメオスティック遺伝子の発現パターンの重複はどの程度許されているのか

<形態形成>
・単細胞生物のような簡単なケースで形態形成が起こる事はあるのか

まとめ:
発生の過程である細胞の分化、パターン形成、形態形成についての話題が多く集まりました。この節を通して、発生の各過程についての知識が深まったと思います。

HMGセミナー 第4章:細胞と細胞間情報伝達(後半)

標準
担当:齊藤
参加者12人
教科書:ヒトの分子遺伝学

節の概要:
細胞増殖,細胞老化,プログラム細胞死
幹細胞と分化
免疫系細胞:多様性を介した機能

議論点:
アナフィラキシーショックを防ぐ方法はないか?
ー自分を防御するための機構で死ぬのはなぜか?

 特殊なIgEが反応する
ー抗原に触れないのが一番
ー花粉症のように減感作ができないか
ー死に至る抗原の特徴はないか?
ー二度かかると死ぬ病気も存在する
ー全身性の反応であることが普通のアレルギー反応との違い
 ー血流にのって全身にわたる
ーアレルギー反応はなぜおこるのか
 ーイネ科や杉はアレルギーを起こしやすい?
 ー短期間に多量にとるとおきる?
  ースギ花粉に曝露し続けると未来には花粉症がなくなる?
 ー衛生状況がよすぎる
 ー免疫系の感度が高すぎる
  ー個体が死んで種の存続に有利になることがあるのでは
   ー生物が小さい頃は生存に有利に働いていたのでは
その他の議論点
ー免疫系細胞が遺伝子へのコードではなく、組み換え等で多様性をうむ理由
ープログラム細胞死に人が手を加えることはできないのか
ーB細胞受容体とTCRにはほぼ無限の多様性があるが、それでも病気になるのはなぜか
ー単細胞生物がアポトーシスをおこすメリットはあるか
ー線虫の細胞は何もなければ死んでしまい、互いにシグナル交換をすることで生き残るが、シグナルを受け取ることによって細胞死が起きる機構でないのはなぜか?
ーヒトでは毎秒10万個の細胞死が起きているが、他の生物と比較してどうなのか
ー脳を再生医療で作ることは可能か
ー獲得免疫系は遭遇した非自己分子を記憶するが、なぜヒトは一生のうちに同じ病気にかかるのか
ーアポトーシスを行なううえでの制御はどうなっているのか
ー免疫細胞が所見の物質に対処できるのはなぜか
ー発生初期の細胞は自分の状態をどのように把握するのか
まとめ
免疫系の話から、アレルギーに関する議論が多くされました。
自分を守るための機構で死んでしまうというのは、とても不思議に思います。