[MBC2014] Nature Podcast(2014/08/28) These fins are made for walkin’

標準

担当:寺嶋
参加者:9名

本文:http://www.nature.com/nature/journal/v513/n7516/full/nature13708.html

概要:
初期の陸生四足動物に近い種であるポリプテルス・セネガルスを湿地で飼育することで、古代の初期の陸生四足動物と類似の胸帯の変化を確認。この結果より、発生可塑性と魚の陸生化の関係が明らかになった。

議論点:
両生類の利点とは
– 乾燥に弱く、水が無いとダメ
 - 水を得られないリスクがあるにも関わらず陸へ適応する意味
  - エサの確保
  - 逃げるときに有利
  - 一部の生物は陸上に卵を産める
   - 水中の外敵からは守ることが出来る
   - 多様性は高いが、結局は水がいる
  - 水場と水場の間を長距離移動できる
   - 多少水が少なくなっても対処できる

– 幼生のときにはエラ、変態して肺が出来る
 - 水中の方が エサの確保が容易
  - 自分よりも弱い生物がいろいろいる
 - 運動能力があまりいらない
  - 水中なら浮いているだけでもいい
 - エネルギー消費が少ない
  - 単純なので省エネルギー
  - 途中で変態するのが単純かどうかは不明

– 他の種との比較
 - vs 爬虫類
  - エサの確保できる範囲が広い
  - 逃げられる場所が多い
 - vs 魚類
  - 水を求めて長距離移動できる

– 進化するとしたら?
 - 乾燥に強くなる
  - 水中で生まれて変態する時点で難しそう
 - 海へ進出
  - 気水域には既にいる
  - 化石からは昔はいたらしい

まとめ:
水生から陸生への変化の話題でしたが議論点は両生類についてでした。両生類は進化の途中で残っているだけという説もあり、今後の絶滅しそうとのことなので、環境の保護は大事だなと思いました。

[MBC2014] Nature Podcast(2014/08/21) What lies beneath

標準

担当:小舘
参加者:9名

リンク:http://www.nature.com/nature/podcast/index-2014-08-21.html

概要:
南極の氷の下に存在する液体の水を直接採取したこと、その微生物学的解析を初めて行ったことについて述べられている。

議題:環境と生物多様性との関係
→厳しい環境に置かれると、生物の多様性はどうなるのか?

★話題1:環境の厳しさと多様性に関係はあるか

●厳しさ=選択圧の強さ だろう
→厳しくなるほど多様ではなくなるのでは?

●厳しくなるプロセスが大事?
・だんだん厳しくなっていく:適応していって多様になる
・一気に厳しくなる:(少なくとも一時的に)多様性はなくなる

●カンブリア爆発:一気に多様化?
・(仮説)目が出来たことによる(それさえあればよい)

★話題2:どういう条件が効いてくるか

●環境の厳しさ ⇔ そこでの生き方(ニッチ)の少なさ
→多いほど多様化

●安定には生き残らない→多様化

●今回の解析:約4,000種の細菌・古細菌
・栄養乏しい
・太陽光届かない
・炭素成分を食べて生きている
(4,000という数字は大きいのか小さいのか?)

●そこに適応するなにかがあれば多様化?

●栄養源からの距離が効くのでは?

まとめ:
南極氷底湖という非常に厳しい環境の生態系という話題から、環境の厳しさと生物との関係という議題が出た。他の厳しい環境下での生態系も調べて比較すると面白そうである。

[MBC2014] Nature Podcast(2014/08/14) All Shook Up

標準

担当:水谷
参加者:7名

リンク:http://www.nature.com/nature/podcast/index-2014-08-14.html

概要:

2014年4月に地震空白域でイキケ地震が起こった.この地震に対し地震テクトニクス的解析を行った結果,災害の可能性の残る地域および高まっている地域が特定され,今後イキケ地震震源地より南部地域で巨大地震が発生する可能性が示唆される.


議題:「地震は遺伝子に影響を与えるか」

◯地震が異常行動を引き起こすか?
 ・地震が死ぬことにつながれば,生物は恐怖を覚える=遺伝子に影響を与えるのでは
 →生物が地震で死ぬ場合を考えてみよう

◯地震で生物は死ぬのか
 ・人間:死んでしまう
 ・他の生物:鳥は飛べばよいし,陸上のにもあまり影響はない
 → 地震というより地震による津波の影響のほうが大きいのでは?
 → 恐怖を覚える天変地異について考えてみる

◯天変地異による選択圧(恐怖を覚える原因)

  • 火山,台風
    • 被害地域は割と固定されるので,それらに対する恐怖を覚えるという点での選択圧はおおきい
  • 津波
    • 回数が少ない
    • 川魚への影響はありそう?
      • 津波が来たところ,来ていないところの川魚のゲノムを比較することでなにかわからないか
    • 海底への影響
      • 潮の流れが変わる
      • 海底火山,プレート付近では影響がありそう

    ◯微弱な地震が遺伝子に与える影響

    • 低周波数がつくかどうか
      • やはり頻度が小さい.やはり死ぬかどうかが最も影響があるのでは

    [MB2014] Nature Podcast(2014/08/07) No limits

    標準

    担当:佐藤(SS)
    参加者:7名

    概要:
    有機合成は研究者の手による職人芸的プロセスを経て行われる。このプロセスを自動化することで効率的かつ高速・安価な有機合成が可能となる。

    議論元「Organic synthesis: The robo-chemist」
    http://www.nature.com/news/organic-synthesis-the-robo-chemist-1.15661


    議題:「有機合成自動化による影響」

    ◯合成マシンとはどんなものなのだろうか
     大きさは?
      おそらく生産量に比例して装置は大きくなる
      ちょっと作るくらいなら3Dプリンタのように手軽なものになるかもしれない
      少なくとも研究室に収まるくらいにはスリム
     操作性は?
      素人が扱えるか・・・No ある程度の化学の知識は必要だろう
      入力がどのようなものかわからない

     合成マシンは生産面ではなく、新しい化合物や反応経路を模索する目的を想定している

     ーーーーーーーーーー自動合成マシンが満たすべき3つの条件ーーーーーーーーーー
     ①データベースへのアクセス
      反応や分子の情報が集まったデータベースにアクセスし情報を得ることができる
     ②合成経路を導くアルゴリズム
      チェスのコンピュータが考えるように幾つもの経路を考えて最適なものを選択する
     ③実際の反応を行う
      ①、②を満たした上で実際に合成を行い、化合物を作る

      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    ◯現状
     1つの作業を繰り返すような単純な工程は自動化できている
      ex)DNA合成機、ポリペプチド合成機

     ◇現状考えられる影響
      ・自然環境への影響(環境汚染)
        人工的に作られた化学物質は自然界に影響を与えている可能性が高い
      ・人(人間社会)への影響
        化学物質の悪用(サリン事件など)、環境汚染は人にも悪い影響がある

    ◯自動化装置が完成した未来
     合成はより ”安価” で、 ”はやく” なる

     ◇考えられる影響
      ・プラスな影響
        生産コストが下がる
        更に効率的な合成経路が見つかるかもしれない
        経済性や保存性の低いものをつくりやすくなる(例えば難病の治療薬)
      ・マイナスな影響
        未知の物質を作りやすくなる一方で、それらが環境に及ぼす影響は未知数
        手軽な装置であれば個人での利用が可能になり、テロの道具とも成りうる


    まとめ:
    合成マシンが及ぼす影響は正負のどちらの面も持ち合わせているだろう。負の影響は具体性にかけたが、正の影響はいくつか例があがった。正の影響として、創薬はインパクトがありそう。合成マシン自体が具体的にどのようなものか、想像しにくかったがそれこそ3Dプリンタのように手軽なものであれば面白そうである。

    [MBC2014] 25-4,5 T細胞とMHCタンパク、ヘルパーT細胞とリンパ球の活性化

    標準

    担当:安澤
    参加者 :7名

    節の概要

    25-4:T細胞とMHCタンパクについて
    25-5:ヘルパーT細胞を中心とした免疫系活性化やエフェクター細胞の分化などについて

    議論点

     

    体外で調整したT細胞による治療の可能性について

    一般的なT細胞活性化プロセス

    1.  抗体補足による樹状細胞の活性化
    2. 活性化した樹状細胞によるT細胞への非自己ペプチド断片(抗原)の提示
    • 既にペプチドワクチン療法というものがある
      • ペプチド抗原を投与して樹状細胞を活性化する(1.)
      • 人工的に活性化したT細胞を作成できれば何かメリットはないだろうか?

    人工的なT細胞の作成

    • 利点
      • 免疫系の老化に対応できるかもしれない
      • T細胞(免疫)不全の病気治療
        • 拒絶反応が起きないようMHCタンパクを個人ごとに合わせる必要あり
    • 問題点
      • 樹状細胞の活性化や作成で十分なのではないか
      • 傷害性(キラー)T細胞の寿命はあまり長くないのではないか
           →樹状細胞・ヘルパーT細胞も導入する
           →老化を考慮する

    がん細胞をターゲットにした場合について

    • 何を抗原とするかが問題
      • 正常な細胞の変異であるため特異性が高くない
    • 人工的に作成した抗体を投与する治療が研究中

    T細胞の老化とはそもそも何であろうか?

    • 年代別・健康状態ごとにゲノムやトランスクリプトームを読み特徴を見つけるのが手っ取り早そう 

    まとめ:
    現状では技術的課題や優位性が薄いですが、アプローチとしては十分有り得ると考えられます。

    [MBC2014] Nature Podcast(2014/07/31) Replaying evolution

    標準

    担当:朴

    参加者:8名

    概要:
    マウスで歯の発達を制御Ectodysplasin A(EDA)と呼ばれる遺伝子をいじることで歯の異なる構造をリメイクし、形態的形質の進化的変遷を実験で再現することが可能であることを示した。

    議論:
    歯の他に進化を巻き戻せそうなもの

    −昔はどんな形だったのか
     −化石に残ったもの
      −骨格、爪など

    −しっぽは可能か
     −霊長目から類人猿、尻尾は確かに短くなってきた
     −決定的遺伝子発現量による

    −種の寿命に関しては
     −寿命が長いと変異が少ない
      −マウスは変遷が見られるが、他の種は?

    ゲノムが分かれば、再現できるのか
     −ネアンデルタール人
      −再現が難しい、倫理問題
     −マンモス
      −可能そうに考えられるが、全合成にはまだ十年以上必要?

    −再現が面白そうなもの
     爪、あご、眼窩、象牙など

    まとめ:
    歯の他にも進化を巻き戻せそうなものについての議題で、今の段階では技術的難しいと思われます。

    [MBC2014] 25章1,2,3節 リンパ球と適応免疫、B細胞と抗体、抗体の多様性(B4 池野)

    標準
    担当:池野
    参加者:7名
    概説:
    25章では、主に免疫系に関して述べられている。抗原が体内に侵入してから免疫が働くまでの一連の流れが説明されている。
    議論点:
    適応免疫系を安全に強化するにはどうしたらいいか
    ○免疫系を強化する方針
    1.抗原への攻撃力を上げる
    2.抗原の検出力を上げる
    3.抗原の発見から免疫ができるまでの応答速度を上げる
    ○流行のウイルスに対する対策
    そのウイルスに対するB細胞を作成し、個人個人のゲノムに合わせてカスタマイズして組み込む
    ○1つの抗体でより広範囲をカバーできないのだろうか
    ・自然免疫は広く反応するが抗原への攻撃力は弱い
     ⇒自然免疫の攻撃力を上げることで免疫系の強化につながるのでは
     ・自然免疫は弱いから成り立っている可能性(強すぎると自己抗原も殺してしまう?)
    ○抗原の発見力に関して
    ・発見力を強化したとても、FPを減らさなければ自己抗原も死んでしまう
    ○胸腺の強化
    ・強化は難しそう
    ・胸腺は10代でもっとも多く、年をとるにつれ脂肪組織に置き換わる
     ⇒胸腺を「維持」することが結果的に強化につながる
     ・ニワトリは胸腺が小さくならない
      ⇒胸腺維持に関する情報を得られる可能性
      ・ゲノムを調べて関係する遺伝子やパスウェイを同定できるかもしれない
    ○免疫系のコントロール
    強化ではなく弱化させることができれば、アレルギーの治療も可能かもしれない
    応答系の一部を鈍くすることで可能か?ただし、ピンポイントで弱くしなければさまざまな病気に対しての免疫も無くなってしまう恐れがある
    まとめ:
    免疫系の発見力に関した議論が主であった。胸腺の強化に糸口がありそうだが、強化は難しそうなので維持することを考えたほうがより現実的である。

    [MBC2014] Nature Podcast(2014/07/24) A fate sealed?

    標準

    担当:小澤
    参加者:8名

    概要:
    気候変化がオットセイ集団のヘテロ接合度に影響を与えていることを実証

    議論:
    遺伝子プールを利用した将来の生物群集予測

    ・背景
    従来の生態学では,生物と環境に与える相互作用から生物群集を予測
    そこに遺伝子情報を加えることで何ができるか

    ・今回のトピックより
    オットセイの場合,一世代が長いことで予測が困難であった
    一世代が短いと,集団の入れ替わりが素早くなり環境変化に素早く対応できそう

    提案
     変異による環境適応度の変化・集団サイズにより,変異の定着をシミュレートする
     個体数の変化をモデル化(死亡率,交尾率, etc. + 遺伝情報)
      どちらも遺伝情報による環境適応の定量化が課題

     大量に対象生物種のデータを集め,GWASを行う
      やはりデータの必要数が膨大なのがネック

    遺伝子を組み込む場合,環境適応に関連する表現型と遺伝子型の結び付けが課題といえる

    [MBC2014] Nature Podcast(2014/07/17) Wasting away

    標準

    担当:寺嶋
    参加者:9名

    概要:
    悪質液の原因物質の1つである腫瘍由来副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)を抗体で阻害すると、褐色脂肪細胞の活性化が抑えられ、体重減少を防ぐ事ができる。

    議論:
    病気によって病気を相殺することはできるか

    – 体重減少への応用
     - 今回の研究は褐色脂肪細胞の活性化によって体重を減少させる
      - (ヒトでは)失敗
      → 疾患の原因次第ではできるかも?
     - 細胞内外のエネルギー障壁をなくす方法
      - コントロールが難しい

    – 近視⇔遠視
     - 完全に近視を直すと遠視が強く出てしまう

    – 肥満⇔痩せ過ぎ
     - 痩せ過ぎになる仕組みを導入しても肥満は解消しない
     - 表現系同士で相殺するのは難しい
      → 現象レベルでの仕組みが理解できていれば可能かも

    – 一時的に病状を緩和する
     - ウイルス同士で殺し合い
     - 複数が感染できない病気を使う
     - ターゲットが同じで競合する
      → コントロールが難しい

    – 腸内細菌を整える
     - 乳酸菌は安全?
      - ミドリムシは?
       → 今のところ経験的には安全
     → バランスの調整が重要

    まとめ:
    podcastでも触れられていた病気により病気を相殺するという議題でした。コントロールが難しい案が多く出ましたが、今後現象の理解が進めば、また違った可能性があり得ることが分かりました。

    [MBC2014] 24 病原体, 感染, 自然免疫

    標準

    担当:小舘
    参加者:8名

    節の概要:
    感染症の原因である病原体とその仕組み、対抗策のひとつである自然免疫について述べられている。

    議論点:
    ウイルスの環境への対応力を逆に利用する方法について

    ウイルス:進化速度速い
    ・追従性
    ・mutation rate
    →薬へ応用?
    ★ウイルス療法
    ・がん、脳腫瘍(膠芽腫)→既に試されている。
     がんの種類に対してウイルスの進化速度を利用できないか?
     免疫系みたいなことをさせる 元の免疫系とタッグできると良し?
    ・ホストへの特異性が大事
    ・通常細胞にも感染してしまうのでは?
     →免疫系に見つかりやすくする手法(見つかりにくくする機能を阻害)
      免疫系とのバランスが大事だろう。
      役目を終えたら自決してくれれば良いのだが。
    その他の話題:
    ・ドラッグデリバリー 任意のターゲットへ感染
    ・ファージ療法もある(抗生物質の代わり)
    ・ウイルスを常在菌みたいにする? 定期服薬
    ・実験室でmutation rateを上げる
     →環境中へ 危険な因子を速やかに排除 ←危ないのでは?
    ・別のウイルスをやっつける
    ・ウイルスをデザインしてしまう
    ●まとめ
    主にウイルス療法の話題が盛り上がった。現在既に治験として試されていることもあるが、今後の課題はもともとある免疫系との兼ね合いだろう。