担当:池野
参加者:8名
論文:http://www.nature.com/nature/journal/v513/n7516/full/nature13695.html
概要:
ガイドRNAを介した切断と多重相同組換え修復を用いて、ゲノム領域の飽和編集を行うことができる。これにより引き起こされる多数の変異の影響を測定することで、高分解能での遺伝子機能の解明や重要性が不明なバリアントの解釈の助けとなる。
議論点:ゲノムベースの機能予測・シミュレーションは可能か
現時点で確立されている手法
◆実験などによる知識を利用したもの
・タンパク質の立体構造の予測
・既知のタンパク質の配列との類似性から予測
⇒配列が似ているならば構造・機能が似ていると断定して良いのか?
・ポテンシャルエネルギーが最小になるような構造を計算することによる予測
⇒構造予測は機能予測につながる
◆実験などによる知識を利用しないもの
・MDによるシミュレーション
・計算コストは大きい
⇒近似的な予測はできないか?
・水分子の近似をする手法は存在している
・MDの計算を知識によって置き換えることはできないだろうか
MDについて
・計算可能な時間スケールは現在マイクロ秒程度
・長い時間でのシミュレーションが可能になると
・初期値決定のシビアさの緩和
・生体の反応は現在の計算可能な時間スケールよりも大きいスケールで行われる
⇒実験での観察結果との整合性が取れ、MDの妥当性を検証できるようになる
・MDは化学反応を起こせない
・電子レベルでの動きまで見れるようにできるだろうか
・量子力学を取り入れる必要性
まとめ:
ゲノムベースでの予測ということで、既知の知識を利用する手法となるべく利用しない手法があると考えられた。MDは、今後コンピュータの計算能力の向上にともなってより大きな時間スケールや高分解能でのシミュレーションが可能になると考えられる。